資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ31 コミュニティ交通編 巻6
2008年 自治体交通計画:元年 ― 元気な地域生活交通をつくるために
新制度 地域公共交通活性化・再生法
~そのねらいと運用、先行都市にみる活用の方策と計画の手法~
[監修] 山本雄二郎/高千穂大学 客員教授
鈴木 文彦/交通ジャーナリスト
書籍の概要
体裁 |
A4判/214頁 |
発刊 |
2008年6月18日 |
定価 |
9,514円(本体価格)+税 ISBN 978-4-925069-52-6 |
執筆者
※役職は講演
又は執筆時 |
鈴木 文彦/交通ジャーナリスト
山本雄二郎/高千穂大学 客員教授
城福 健陽/国土交通省 総合政策局 交通計画課 地域振興室長
白井 英俊/愛知県田原市 福祉部 福祉課長
中澤 篤志/秋田市 都市整備部長
山梨 榮/武蔵野市 国際交流協会 理事長 (元.武蔵野市収入役)
坂本 義次/東京都檜原村 村長
寺井 豊/京都府 建設交通部 交通対策課 副課長 |
申込方法 |
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書籍の内容構成
●発刊によせて
一言で地域公共交通といっても、千差万別である。それぞれ地域の特性が異なり、人口構成、地形、社会構造、風土、生活習慣など、どれ一つ見ても、同じということはないだろう。それだけに、地域公共交通を展開するにあたって、はじめから確かな解があるわけではない。
東京・武蔵野市の「ムーバス」の場合も、そうである。コミュニティバスの嚆矢とされ、いまでこそ順調に運行されているが、計画当初から参画した経験からいえば、実に多くの曲折があった。途中の段階で「これはインポシブル・ミッションだ」、不可能を可能にするチームだ、と苦笑しながら取り組んだ記憶がある。
当時の土屋正忠市長の発想のユニークさと熱意は舌を巻くばかりだった。しかし、それを具体化するとなると、容易ではない。あまりに壁が厚く、その最たるものが道路運送法をはじめとする法制の壁である。
なんとか、それを乗り越えて「ムーバス」は実現し、それから長い歳月が流れた。そして今、あらためて昔日の感を深くするのは、地域公共交通活性化・再生法の出現である。国も積極的に関与し、地域公共交通の新展開を可能にするスキームがつくられたのは画期的なことであり、その意義は大きい。
これが契機となって、全国各地でさまざまな取り組みが見られるようになった。現に、この法律の適用を受けた側が150件を超えたのは特筆すべきことである。
これによって、地域公共交通は第2ステージに入ったといえよう。しかし、問題はスキームができれば、すべて順風満帆とはならないことで、その点を見落としてはならない。
それぞれの地域の特性に応じ「身の丈に合ったオーダーメイド」のシステムを構築できるかどうかは別だからである。これは「ムーバス」を成功に導いた岡並木さん(評論家/元静岡県立大学教授)が常に強調していたことだが、関係者の熱意と創意工夫があってこそ、真に実効性のある地域公共交通が生まれる。
その点、本書に登場するのは、新しい地域公共交通の新展開をめざす上で、パイオニア的な役割を担ってきたケースといっていいだろう。そこに見られる新しい法律の仕組み、関係者のフロンティア精神は大いに参考になると思われる。本書の刊行を機に、地域公共交通の新しい地平がひらかれることを切に望んでやまない。
2008年6日2日 山本 雄二郎
●発刊によせて
近年、乗合バスや地方鉄道の廃止が現実のものとなり、地域で生活交通の確保に向けて何らかの対応をせざるを得ないケースが増えてきている。また、既存の交通が行き届かない地域に対するコミュニティバスやデマンド交通の増加などを見るにつけ、自治体が公共交通に正面から向き合うようなムードが育ってきたことに、私が地域交通に関わり始めた20年前、30年前との大きな差を見出し、嬉しく思っている。しかし一方、現状は自治体が負担を含めて丸抱えしてしまっているのが実態で、そのことに起因する課題も大きくなりつつある。利用者が極端に少なく、それでも多額の財政負担をしているケースなど、そのままではとても持続できない、あるいはコンセンサスが得られない事例が少なからず存在する。さらに、個々の地域が個別に対応策を講じた結果、とりあえず個々の生活交通の確保はできたものの、広域交通ネットワークはすっかり崩壊してしまったケースも少なくない。そうしたことを憂い、悩んでいる担当者の方も多いと思う。
これからの少子高齢化社会において、地域の交通を本当の意味で確保し、持続させるためには、どこかに(行政・事業者などに)過大な負担と責任がかかる方式はけっして望ましくない。住民を含めた地域の関係者みんなが、交通を自分の問題として考え、負担と責任を分担する仕組みを構築することが必要となっている。他人任せにせず、みんなが当事者になって「考え、つくり、守り、育てる」のがこれからの地域交通なのである。
そのように考えたとき、今回の「地域公共交通活性化・再生法」とそれにもとづく国の支援制度は、実に時機を得た仕組みといえる。これまでの行政や事業者への補助制度と異なる面があるので、戸惑うところもあるかもしれないが、要するに関係者みんなが一体となって一生懸命取り組む地域を支援するという考え方なのである。これをうまく活用し、地域の交通をよりよいものにしていくことが、各地域に課せられたこれからの課題である。本書に示す事例はいずれも、地域交通に本気で取組み始めた自治体(地域)の報告である。
“本気”を見せることは何よりも大切なことで、特にまず自治体が“本気”になれば、住民も事業者も本気になれるのである。“本気”になるための考え方のヒントは、本書の中にちりばめられているはずだ。
2008年5日28日 鈴木 文彦
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※タイトルを変更しました
・旧:「地域生活交通の再編政策」→新:「新制度『地域生活交通活性化・再生法』」(2008年5月30日)
・旧:「新制度『地域生活交通活性化・再生法』」→新:「新制度 地域公共交通活性化・再生法」(2008年6月18日)
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