資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ31 コミュニティ交通編 巻4
改正道路運送法:新・乗合事業編
バス・タクシーの地域・住民ニーズ
~新しい事業区分と地域公共交通の構築:実践・実務資料集~
[監修] 鈴木 文彦/交通ジャーナリスト 寺田 一薫/東京海洋大学
書籍の概要
体裁 |
A4判/202頁/写真・図表・資料多数 |
定価 |
9,000円(本体価格)+税 ISBN 978-4-925069-97-7 |
発刊 |
2006年10月30日 |
執筆者
※役職は講演
又は執筆時 |
鈴木 文彦/交通ジャーナリスト
寺田 一薫/東京海洋大学 海洋工学部 教授
田端 浩/国土交通省 自動車交通局 旅客課長
大野 練夫/三郷市 環境経済部 交通対策課 課長補佐
中嶋 日吉/第一観光バス(株) 代表取締役社長 |
申込方法 |
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書籍の内容構成
●刊行にあたって
地域の交通は今まさに転機にある。高齢化社会にあって、公共交通の存在意義は年々高まっている上、子供の安全といった視点で見ても、新たなニーズが明らかに強まっている。ところが、従来日本の公共交通は民間事業者の事業ベースのもとに確保されてきて、マイカー依存型の生活が浸透するにつれて、公共交通は利用者の減少から経営が成り立たなくなっている。ここ20年ぐらいの間は、事業ベースで見たときのマイナスを国や地方自治体が補填する形で従来型の公共交通を維持してきたが、財政負担にも限界が見えてきた今、これまでの形での公共交通の維持・確保は困難になっている。
このような中で必要なことは、従来型の公共交通のスタイルにとらわれず、新たな発想で地域の交通のあり方を議論することである。このときに大切なことは、交通は形ではなく、それぞれの地域の本音のニーズをきちんと反映したものでなければいけないということと、一時的に確保すればよいものではなく、持続できるものにしなければならないということである。2006年10月の道路運送法の改正によって、新たな地域交通の方法が選択しやすくなっているが、ともするとデマンド型乗合タクシーや、NPOによる有償運送という形が先行してしまい、これらを前提とした施策展開になってしまう恐れがある。これらの方式が適合するかどうかは地域の事情やニーズの実態によって違うわけで、そこの判断を誤ると、コストだけかかって誰にもメリットのないものになりかねない。
交通はネットワークをなして機能するものであるから、地域交通がそれぞれの地域に即して選択されるべきであることは事実だが、個別事例の寄せ集めではある程度の生活圏域で見た場合、交通ニーズが満たされない場合も出てくる。特に合併によって広域化した市町村においては、新たな圏域全体の交通体系をどう構築するかということと、個別の地域の交通をどう確保するかということは、車の両輪のように並行して考える必要がある。そして、バスならバスの、タクシーならタクシーの可能性と限界をしっかり見極め、それぞれにできることは何なのか、できない部分はどうすべきかを考えて、適材適所に配慮したメリハリのある交通体系を創って行くべきであろう。さらに、行政と事業者と地域住民が、それぞれ当事者としてどの部分に責任を持ってトータルの交通を維持・活性化していくのか、地域の中でじっくり議論しなければならない。
理論と地域の実態、両方がバランスよく議論されて、初めて地域の交通は住民にとって最もふさわしいものになっていく。そのことが本書をひもといていただければ実感できるのではないかと考えている。
鈴木 文彦 (交通ジャーナリスト)
●刊行にあたって
規制緩和と地方分権の流れの中で、地域公共交通を支えるプレーヤーは変化した。わが国では、最終的に住民に責任を持つ木曽自治体は市町村と決められている。しかし、これまでそのことが形骸化していた。現在、住民の最終的な足を支えるバスや乗合タクシーのあり方をめぐって、多くの市町村が頭を悩ませているが、これは当然のことかもしれない。大いに悩む中で、その街にふさわしい地域交通政策を作り上げてゆかなくてはならない。
しかしどの市町村も地域交通に関するノウハウが不足しているので、うまい話にすぐ飛びつく。コミュニティバスブームがそうであった。コミュニティバスが一段落すると、今度はデマンド型乗合タクシーがブームになった。その次、何がブームになるかわからないが、エキサイティングになってはすぐさめるのを繰り返すのが、日本人の悪い癖かもしれない。
そのような中、地元の交通事業者と市町村とが連携して、その地域の特性にあった身の丈の地域交通政策を見つけようとする例が現れた。コミュニティバス運行する場合でも、自治体側が、需要に関する知識や運営ノウハウのある交通事業者からの提案を重視するケースが増えつつある。また自治体が単に欠損補助を行うのでなく、運行開始時に何でも屋的な支援を行い、効率的運営に関する責任は事業者に委ねるケースも出てきた。
幸い、2006年10月からは改正道路運送法が施行され、市町村とバス事業者が連携して様々な形態のバスを運行することが容易になる。少なくとも、関係者が4条、21条、80条いずれの形式でバスを運行するかなど、利用者利便と関係ないことで悩まなくはならないケースは減りそうである。運賃についても、純粋に財政事情や住民ニーズだけを考えて決められるようになる。この制度改正の要点については、本文に紹介されている。新制度を活用し、事業者と自治体による連携策を積極的に実現してほしい。
市町村と交通事業者の連携といっても、大手のバス会社と市町村の取り合わせというと決まってしまう。その組み合わせでの連携なら、規制緩和前からいろいろやってきたという場所もあろう。
むしろ注目されるのが、新たなプレーヤーであるタクシー会社や新規参入バス会社と市町村との連携である。本書では、そのような新しいタイプの連携の持つメリット、その連携をうまくいかせるコツが紹介されているので是非参考にしていただきたい。
寺田 一薫 (東京海洋大学 海洋工学部 教授)
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