資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ31 コミュニティ交通編 巻2
規制緩和情報の資料集成 ―
規制緩和時代のバス&タクシー
~サービス産業としての交通事業の構築に向けて~
[監修] 杉山 雅洋/早稲田大学 商学部 教授
山内 弘隆/一橋大学大学院 商学研究科 教授
山本雄二郎/高千穂大学 客員教授
書籍の概要
| 体裁 |
A4判/236頁/写真29葉/図・表・資料89点 |
| 発刊 |
2002年10月25日 |
| 定価 |
11,500円(本体価格)+税 ISBN 978-4-925069-89-2 |
執筆者
※役職は講演
又は執筆時 |
杉山 雅洋/早稲田大学 商学部 教授
山内 弘隆/一橋大学大学院 商学研究科 教授
山本雄二郎/高千穂大学 客員教授
鈴木 文彦/交通ジャーナリスト 日本バス友の会企画部長
田中 重好/名古屋大学大学院環境学研究科教授
松澤 俊雄/大阪市立大学経済研究所教授
山腰 俊博/国土交通省海事局総務課油濁保障対策官 (元・同省自動車交通局旅客課課長補佐)
吉田 平/平和交通(有)取締役 |
| 申込方法 |
申込用紙(フォーム)に下記の所要事項を記入の上送付下さい。2~3日以内に発送致します。
■所要事項 : 勤務先、氏名、所属部課役職名、所在地、TEL、FAX、MAIL、支払方法、必要書類、等
■申込用紙 : お申込みフォーム FAX・メールでのお申込み |
書籍の内容構成
第1章 規制緩和潮流とバス&タクシー事業の活力創造
- 規制緩和後のバス・タクシー事業 ~NeedsからWantsへの事業化戦略の確立をめざして~
山本 雄二郎 (高千穂大学)
- 規制緩和とバス事業 ~事業者の創意工夫とバス交通の活性化~
杉山 雅洋 (早稲田大学)
- 規制緩和とタクシー事業 ~市場メカニズムをバネにした新サービスの創造~
山内 弘隆 (一橋大学大学院)
- 都市・地域バス事業における規制緩和と評価 ~英国の例を中心にして~
松澤 俊雄 (大阪市立大学)
第2章 バス・タクシーの規制緩和政策 ~改正法施行とバス事業~
- 道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律の概要とバス・タクシー事業の活性化
山腰 俊博 (国土交通省)
- 規制緩和後のバス交通
資料提供:国土交通省/まとめ:編集部
- 規制緩和と生活交通の確保方策
資料提供:国土交通省/まとめ:編集部
第3章 ケーススタディ ―規制緩和後のバス事業
- 利用者・事業者にとってのバスの規制緩和
鈴木 文彦 (交通ジャーナリスト・日本バス友の会)
- 地域における規制緩和-地域交通の創造 ~津軽地方の公共交通(バス)を維持するための取り組みから~
田中 重好 (名古屋大学大学院)
- 〔千葉市〕ビジネスとしてのバス事業と規制緩和
吉田 平 (平和交通)
第4章 資料編 ~バス・タクシー事業の未来を検討・研究するために~
●発刊にあたって  
21世紀は、日本にとって大きな節目であり、陸上の公共交通に限ってみても、地球環境問題の深刻化や高齢社会の到来などから、自動車社会の見直しをはじめ、バス・タクシー事業の活性化、鉄道事業とくに地方鉄道の再生、ノーマライゼーションの実現といった多様な課題への対応が求められている。それに応えて既に、京都議定書批准に伴う国や自治体の環境対策、バス・タクシー事業の規制緩和、交通バリアフリー法の施行といった新しい政策への取り組みが始まった。
戦後の高度成長時代の「量」的な政策から、「質」を求める時代の交通環境の整備へ移行しつつあるといえる。全国のコミュニティバスの例でいえば、バスを移動手段として位置づける「文明」から、地域を支える「文化」へ脱皮を図ったということができよう。
これまでバスの場合、国の指針に従って事業者が計画をつくり、採算を最優先して事業を進めてきた。市区町村や市民が計画に主体的に参画することはまれであった。
しかし、高齢者をはじめとした移動制約者の量的な増大や、コミュニティや経済の活性化を柱にしたまちづくりへの対応を迫られるなかで、市区町村や市民が関わって新しい道を拓こうとする気運が高まっている。コミュニティバスや100円バスは、その端緒ともいえよう。
タクシーにおいても、介護タクシーや空港などへの乗合タクシー、福祉移送サービスへの取り組みなどが顕著となってきた。これも量の追求から質の追求への転換の表れであり、行政や市民との連携に力点がおかれているのが特徴である。これらの動きは、タクシー会社の経営者の1人がいうように、「輸送業からサービス業への転換」ということになるかもしれない。
その意味で、現状は事業者にとって、新たなビジネスフロンティアの出現ということができよう。新しい交通サービスや交通システムをつくる絶好の機会ととらえる視点が必要になるのではないだろうか。本書がバスやタクシーの活力ある事業展開に資することを願ってやまない。そして市民や利用者が誇りや愛着をもてる、ドライバーなど働く人にとっても生きがいが生まれる、さらにマイカー利用者を呼び戻せる ―そういう公共交通が実現する日の到来を切に期待する。
2002年10月 高千穂大学 山本 雄二郎
●次なるステップヘ向けて  
巻1「ITSとこれからのバス・タクシー」を刊行してから1年半余が経ってしまいました。本シリーズはコミュニティとバス・タクシーの現在をテーマにスタートし、年間に2~3巻を出版する計画でした。バスやタクシー事業が変動期にあること、自治体も分権や市町村合併、高齢社会対応、新しい地域振興など脱皮を求められていることから、交通、中でも市民交通ともいえる本シリーズはタイムリーな企画と自負しております。映像の分野で作品の刊行を続けられたことが、せめてもの救いです。
ところで、鳴り物入りで始まった規制緩和政策ですが、その成果は少しずつ現れてきているようです。当面は地方圏での動きが大きいようですが、大都市圏でも徐々に新しい取り組みが始まっています。交通事業が活性化することによって、コミュニティや経済に活力が与えられ、それが自治体経営に寄与するという、プラス志向のスパイラルとなることが求められています。三方一両得となる社会システムを支えるものでもあるのです。その意味からも、バスやタクシーなどのコミュニティ交通への期待には、大きいものがあります。
私たちがお手伝いしました武蔵野市ムーバス、鈴鹿市C-BUS、杉並区すぎ丸などでは、フォローアップ調査を実施し、評価や効果の検証、改善・充実策の実施等を行っています。そこから、バスやタクシーに参考になると考えられることがいくつかあります。その一つは、これらのコミュニティバスに共通している評価項目に、運賃が安い、バス停が近い、時刻表通りに来る、の3つがあることです。既存の公共交通への市民の願望ということもできるのではないでしょうか。さらに、車両の外観デザインも高い評価を得ています。現在の路線バスのデザインは、事業者のデザインであって、地域や利用者のデザインとはなっていないことの証左かもしれません。当然ラッピングバスの評価にも同じことが言えるでしょう。車内のリッチ感についても「ムーバスがハイヤーなら、路線バスはタクシーの感覚!」という武蔵野市の主婦の言葉に代表されるよう に、「運ぶ道具」的なイメージを市民は抱いています。
本書が元気なバス・タクシー、そして活気ある地域づくりに役立つことを願っております。そして、自治体や交通事業者との交流をより一層進めながら、高齢者を初めとした移動制約者のための交通サービスの充実に微力ながらも力を注いでいきたいと考えております。それは、高齢者が利用しやすければ、市民はもっと便利になるというユニバーサルデザインの考え方を大切にしたいからです。コミュニティ交通編の未来にご期待とご支援をお願い致します。
最後になりましたが、監修をお引き受けいただいた杉山氏、山内氏、山本氏、並びに執筆者の皆様へ厚く御礼申し上げます。
2002年10月 地域科学研究会 編集部 |
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執筆者略歴(執筆順)
山本雄二郎(やまもと ゆうじろう)
高千穂大学客員教授
1970年よりサンケイ新聞論説委員として交通・物流問題を担当。85年航空政策研究会理事に就任、88年から事務局長、99年より会長補佐。86年高千穂商科大学教授、2001年より現職。
成田空港地域共生委員会代表委員、武蔵野市・杉並区・浦安市等のコミュニティバス実施検討委員会他、全国の空港計画・交通計画の立案・指導等に参画。
著書等に「日本航空」(朝日ソノラマ)、「運輸のしくみ」(ポプラ社)、「鉄道高架とまちづくり」(当会)他。 |
杉山 雅洋(すぎやま まさひろ)
早稲田大学商学部教授
早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了、商学博士。早稲田大学商学部助手、講師、助教授、旧西ドイツ・ボン大学法律国家学部客員研究員を経て現職。
運輸政策審議会自動車交通部会バス小委員会委員長代理等を務める。
著書等に「西ドイツ交通政策研究」、「Preisbildung offentlicher Unternehmen im Verkehrs-sektor」、「交通政策展開の歩み」等。
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山内 弘隆(やまうち ひろたか)
一橋大学大学院商学研究科教授
1955年千葉県生。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了。中京大学商学部・経済学部専任講師、一橋大学商学部専任講師、助教授、教授を経て2000年より現職。
運輸政策審議会専門委員(タクシー小委員会委員長代理)、建設省道路審議会専門委員、内閣府PFI推進委員会委員等を歴任。
著書等に、「航空輸送」(晃洋書房)、「講座・公的規制と産業4.交通」(NTT出版)、「交通経済学」(有斐閣)他。
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松澤 俊雄(まつざわ としお)
大阪市立大学経済研究所教授
1948年岡山県生。九州大学大学院経済学研究科博士課程修了。愛知大学法学部非常勤講師、助教授を経て、82年大阪市立大学経済研究所助教授、92年より現職。
編著に「大都市の社会基盤整備」他。
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山腰 俊博(やまこし としひろ)
国土交通省海事局総務課油濁保障対策官
1992年東京大学法学部卒業。同年旧運輸省入省。海上技術安全局総務課、米国留学、航空局管制保安部保安企画課専門官、自動車交通局旅客課課長補佐を経て2001年8月より現職。
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鈴木 文彦(すずき ふみひこ)
交通ジャーナリスト・日本バス友の会企画部長
1956年山梨県生。84年東京学芸大学大学院修士課程(地理学)修了。現在、フリーの交通ジャーナリストとして、雑誌「鉄道ジャーナル」「総合交通」等にレギュラーとして執筆。
「運輸と経済」「モビリティ」「旅」「バスジャパンハンドブック」等に論文・取材記事多数。運輸省汎用電子乗車券普及検討委員会委員他、地方自治体及びバス事業者等でアドバイザーを務める。
著書等に「高速バス大百科」(中央書院)、「日本のバス年代記」「路線バスの現在・未来](グランプリ出版)他。
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田中 重好(たなか しげよし)
名古屋大学大学院環境学研究科教授
1951年神奈川県生。82年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学、法学修士。弘前大学人文学部教授を経て2001年より現職。
青森県津軽地域路線バス維持協議会座長等を務める。
著書等に「災害と人間行動」他。
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吉田 平(よしだ たいら)
平和交通有取締役
1983年東北大学工学部卒業。同年株リクルート入社。情報誌の企画・営業部門、情報ネットワーク事業の営業・顧客サービス部門を経て、営業・新商品開発マネージャー。95年有団地交通入社。現在、同社及びグループ会社平和交通の企画部門担当。
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