資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ32-3
「狭あい道路とまちづくり」 PART II
狭あい道路と生活道路の整備方策
[監修] 井上 隆/(株)首都圏総合計画研究所 取締役
書籍の概要
体裁 |
A4判/242頁/図・表・資料170点 |
発刊 |
2001年3月1日 |
定価 |
9,514円 (本体価格)+税 ISBN 978-4-925069-86-1 PART I・II・IIIのセット価格はこちら |
著者 |
井上 隆/(株)首都圏総合計画研究所 取締役
塩田 徳治/元.東京都杉並区 建築部長
坂本 孝男/東京都 生活文化局 コミュニティ文化部 副参事 (元.東京都豊島区 狭あい道路整備課長)
澤田 昭治/武蔵野市 建設部長 (元・都市開発部長)
天野 敏光/横浜市 建築局西部 建築事務所 指導調整課長
三木 太志/神戸市 住宅局 建築部 指導課 指導係長
竹川 勇次/東京都世田谷区 北沢総合支所 街づくり部長 |
申込方法 |
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書籍の内容構成
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●刊行によせて
二項道路を中心とした狭あい道路問題は建築・都市行政を難渋させる首かせと考えられてきた。建替え時に中心線から2メートルの後退がなされれば、20年、30年を経て、戦前からの狭い道が概ね4メートルに拡がるはずだった。しかし残念ながら建築基準法施行後50年が経った今日も、狭あい道路は厳として存在する。さらには、高度成長期前後につくられた郊外の道路にも4メートルに満たないものが少なくない。
しばらく前から、狭あい道路問題を嘆くだけでなく、これを解くことが実は市街地整備推進の鍵ではないか、と考えた者たちがいた。東京や横浜の基礎自治体の職員であり、本書の監修者の井上隆氏のような、この問題に面白さを感じたプランナーたちである。小林重敬横浜国立大学教授や私がそうなのだが、狭い道に関心を持つ研究者も出てきた。その者たちが様々な実状を報告し合い、討論を重ねて著したのが「狭あい道路とまちづくり」だったが、幸いにして大方の好評を得ることができた。例えば(財)神戸都市問題研究所の刊行する「都市政策 第84号 1996.7」では書評欄において(阪神・淡路大震災での経験もふまえて)「本書は、土木、建築に限らず、行政に携わるもの全てが、市民生活そのものに関わる狭あい道路問題の解決に取り組んでいくための羅針盤となるものである」との賛辞を寄せてくださった。
本書は、前著の刊行後さらに重ねられてきた議論、取り組まれてきた方策をまとめたものであって、独立した図書ではあるが続刊という位置づけも与えることができる。より多くの自治体でより多面的な対応がなされ、また、最近の法改正や分権の流れの中で、より柔軟な手法の展開も見られるようになってきている。これらを、実際に担当してきた行政職員が中心となって、分担執筆した労作である。
幸いにして狭あい道路問題を苦労の種と捉えるより、まちづくりの可能性を開く扉と考える職員やプランナーが少しずつ増えている。多分それは、家の前の狭い道は公道であろうと私道であろうと、近隣を支える重要な生活空間であり、まちの風景のキーとなる空間と再認識されるようになったからであろう。また一方で住民と行政の協働が要請されるという時代相からも、きわめて今日的な、大切な要素であることも再確認される。
本書の刊行は、そのような「まちのつくり方」に共感し、夢を描く多くの自治体関係者やプランナーに、新たな取り組みへの示唆と勇気を与えるに違いない。
2001年1日 東京都立大学建築学専攻教授 高見沢 邦郎
●監修にあたって
私が、狭あい道路に出会ったのは、東京都大田区建築課から委託された狭あい道路実態調査であり、昭和50年代半ば20歳代後半の頃である。都市計画コンサルタントとして、問題解決の道を模索したが、その時はまち中の狭あい道路をめぐる現実に翻弄されたのが実態であった。
なぜ建築基準法に基づく道路種別が明確でないのか、なぜ道路中心線が明確でないのか、なぜ過去の基準法適用判断が現状で矛盾しているのか、なぜ基準法上後退すべき敷地が後退していないのか、なぜ後退部分が土のまま放置されているのか、なぜ道路状の整備がなされないのか、なぜ道路の後退部分について建築指導担当と道路管理担当が連携できないのか、なぜ建物等が再突出するのか、なぜ狭あい道路の幅員・路線長等に関する統計データにないのか、等々である。それから20年以上が経過した。
都市計画のテーマは、市民が暮らす場であり、都市の膨大な集積である住宅及び住環境を如何に良好なものにしていくかではないかと信じていた私としては、居住環境に最も身近な道路、狭あい道路の実態を知ったことは大きなショックであった。建築基準法が施行されて相当期間経過した現時点では、本来なら問題になるのはおかしい課題にもかかわらず、現実は大いに乖離していたのである。
そこで、このような問題意識を共有化した都立大学の高見澤邦郎教授、横浜国立大学の小林重敬教授をはじめ、多くの東京都・23区及び横浜市等の地方自治体行政担当者の方々と「狭あい道路研究会」を結成した。今日までこの問題を語り合ってくることができたのは幸せである。その成果は、この本の前身の「狭あい道路とまちづくり」に収録されている。
この本の発刊後、東京都豊島区・杉並区・世田谷区・横浜市・神戸市等で新しい制度が創設された。本編は、このような全国地方公共団体の最新の試みを、当事者から語っていただき収録している。各自治体はそれぞれ都市の立地特性も異なり、歴史的経緯も異なるため、各々悩みながら特徴ある仕組みを構築している。今後、このテーマに取り組む自治体には大いに参考になるであろう。
21世紀を迎え、新しい時代が始まろうとしている。日本は明治以来近代化に努力してきたが、一定の成果をあげた分野とそうでない分野が混在している。市民に最も身近な居住環境の分野は、成果をあげていない分野の代表例の一つであろう。その一端を担う狭あい道路問題は、短兵急に解決できる問題ではないが、解決の糸口に向けて地道な努力が必要である。戦後50年かけて問題を積み残したのであれば、今後50年かけて解決すべき課題であろう。ゆっくり、あわてず、しかし着実に継続的に問題を解決しようではないか。目の前の課題を具体的にきちんと解決することから始めよう。
近年、建築基準法の改正で民間主事の登場、中間検査、43条ただし書きの許可、連担建築物設計等が制度化された。従来の建築基準法の発想を超えた制度が創出されつつあり、今後建築基準法の集団規定も抜本的な改定が予定されている。このような新しい動向を活用し、受け身のまちづくりから能動的なまちづくりに転換し、着実な成果を既成市街地で展望したいものである。
2001年2月23日 (株)首都圏総合計画研究所 井上 隆
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「狭あい道路とまちづくり」PART I・II・IIIのセット価格
※セット価格は、書店では取扱いしておりません。当会へ直接お申込み下さい。
パンフレット (PDF:425KB)の裏面にも申込用紙があります。
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