資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ23
都市の計画と防災
~防災まちづくりのための事前対策と事後対策~
[監修] 高見澤邦郎/東京都立大学 工学部 建築学科 教授
中林 一樹/東京都立大学 都市研究所 教授
書籍の概要
体裁 |
A4判/222頁 |
定価 |
9,515円 (本体価格)+税 |
発刊 |
1996年2月20日 |
著者
※役職は講演
又は執筆時 |
小出 治/東京大学 工学部 都市工学科 教授
中林 一樹/東京都立大学 都市研究所 教授
中野 好文/足立区 都市環境部 都市計画課長
木村 光宏/住宅・都市整備公団 東京支社 都市再開発部長
高見澤邦郎/東京都立大学 工学部 建築学科 教授
井野 盛夫/静岡県 総務部 防災局長
岩澤 秀國/川崎市 土木局 防災対策室 主幹
別井 仁/川崎市 土木局 防災対策室 主査
中村 八郎/国分寺市 都市整備部 まちづくり推進課 係長
片寄 俊秀/長崎綜合科学大学 工学部 建築学科教授 |
申込方法 |
申込用紙(フォーム)に下記の所要事項を記入の上送付下さい。2~3日以内に発送致します。
■所要事項 : 勤務先、氏名、所属部課役職名、所在地、TEL、FAX、MAIL、支払方法、必要書類、等
■申込用紙 : お申込みフォーム FAX・メールでのお申込み |
書籍の内容構成
●監修にあたって ― 災害に強い都市と住まいをめざして
阪神・淡路大震災から、早くも1年がすぎた。1年経ってみると、この大震災をめぐってさまざまな状況が、一面ではより複雑かつ困難に変化してきている。被災地とその他の地域で、この震災およびその復旧・復興問題への捉え方に「温度差」がでている。同時に、被災地においても、復旧・復興への取り組みの中で、さまざまな「格差」が見えかくれしている。もともと、災害とは差別的現象であるといわれてきた。自力復興を原則とするがゆえ、応急対応や復旧過程において個々の経済力の差は顕著なものとなり、地域復興においてもいわゆる重点地域と白地地域との格差が拡大している。被災地での復旧復興の取り組みは、都市インフラ以外は、1年後の時点でもまだ緒に着いたところであり、都市計画や住宅分野での新たな取り組みが求められている。
他方、阪神・淡路大震災は、全国の自治体の防災対策に強い衝撃を与え、地域防災計画の見直しが進展している。その主要な論題は、震度7対応や自治体の初動態勢、情報管理やボランティア対応などである。言うまでもなく、こうした地域防災計画の見直しは重要かつ緊急の課題である。しかし、都市・地域の防災対策にとって、この地域防災計画に代表される災害対応対策は「必要条件」であはあるが「十分条件」を満たすものではない。それは、「被害発生」を前提にいかいに対応し復旧していくかの計画ではあっても、「いかに被害を減らし、防ぐか」の計画ではないからである。そのためには、災害が発生するまでに、都市や地域・まちで、被害の軽減・防止をめざした「減災まちづくり」「防災まちづくり」を実施していくことが求められるのである。この「減災まちづくり」「防災まちづくり」の視点は、また、「復興まちづくり」においても重要な視点である。復興まちづくりは、次の災害に対する防災まちづくりであるからだ。神戸での戦災復興土地区画整理事業実施地区とその他の地区とにおいて、被災の様相に差があるとの見方は、まさにこのことを示しているのである。
本書は、阪神・淡路大震災の教訓を我国の都市防災に活かしていくことを目的に東京で行ったセミナーを基にとりまとめたものである。本書が、災害に強い都市・地域づくりの、そして被災地域の復興まちづくりにも、一助となれば幸いである。阪神・淡路大震災では、6,800名を超える人々が命を失われた。災害に強い都市・地域づくりは、専門家はもちろんのこととして、自治体関係者や市民に課せられた社会的責務であると肝に銘じていかねあならないと思う
1996年1日17日 高見澤邦郎 中林一樹
●発刊にあたって
この度の阪神・淡路大震災で被災され、未だ復旧に苦労されている多くの方には御見舞いの言葉がありません。全国、いや世界中の心ある市民が見守っていると信じております。頑張って下さい。
確かに、阪神地域にとっては長いスパンで考えれば復興が、また日本経済にとっては「住専」が大切かとは思います。しかし、せめてその予算の数パーセントでいいから復旧費に上乗せしてくれていれば、被災地域にとってどれだけ励みになるか、と考えてしまいます。
1994年1月17日にロサンゼルス・ノースリッジ地震の報に接した時、10数年前に「防災」ブーム以来放っておかれた「災害に強いまちづくり」を何とか提案したいと、その後準備を進めていました。そして、研修会の企画がほぼ固まった直後に阪神・淡路大震災がおきてしまいました。それから半年余の昨年夏には、既に関心が薄れてきていると聞いて、日本という国の将来を考えてしまいました。
「量から質へのまちづくり」が叫ばれて10年余が経とうとしているにもかかわらず、まだ「地域防災計画」という量が多いのには驚かされます。今こそ、「防災まちづくり」という質に重きを置いた取り組みが求められているという危機感から、10年で完売を目指して、本書と同シリーズ24「狭あい道路とまちづくり」の刊行に踏み切りました。
刊行に際して、監修の高見澤氏、中林氏には、当会の意欲を評価していただき、適切なアドバイスを、また小出氏には年末・年始という貴重な時間を費やして序章をまとめていただきました。本書の資料が充実したものになりましたのは、執筆を担当された方々のご尽力によるものです。厚く御礼申し上げます。
阪神・淡路大震災に学んだまちづくりに、本書が少しでもお役に立てば幸甚です。
1996年2日7日 編集部
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