資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ25 交通計画集成 巻3
公共交通の整備・利用促進の方策
交通を支える市民・行政・事業者の連携
[監修] 山本雄二郎/高千穂商科大学 商学部 教授
書籍の概要
体裁 |
A4判/228頁 |
発刊 |
1997年4月 |
定価 |
9,514円(本体価格)+税 ISBN 978-4-925069-68-7 |
執筆者
※役職は講演
又は執筆時 |
山本雄二郎/高千穂商科 教授
岡 並木/評論家 (比較都市論)
山内 弘隆/一橋大学 商学部 助教授
鈴木 文彦/交通ジャーナリスト・日本バス友の会 企画部長
佐藤 信之/亜細亜大学 講師
中埜 豊/(株)トーニチコンサルタント 東日本支社 計画本部長
渡邉 豊/東京商船大学 助教授
福留 久大/九州大学 経済学部 教授
里田 啓/交通システム企画(株) 技術統括部長
後藤 昌久/奈良交通(株) 常務取締役
武市 隆志/高知県 企画部 交通対策課 交通企画班長
大嶋 廣/武蔵野市 建設部 交通対策課 課長補佐
田中 重好/弘前大学 人文学部 教授
吉田 平/(有)団地交通 企画課長
宮川 浩一/交通ジャーナリスト |
申込方法 |
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書籍の内容構成
●監修にあたって
ひと言で『公共交通の整備・利用促進の方策』といっても、きわめて広範囲に及び、しかも問題が多岐にわたるだけに、それを1つの巻にまとめるのは、容易なことではない。しかし、本巻では、その困難にあえて挑戦し、2部構成で論文を収録、新しい地平を拓くことを試みた。
第1部の「公共交通の整備と活性化の方策」は言ってみれば、公共交通にかかわる基本的な考え方と新たなシステムについて、問題点と課題を整理することに力点をおいたつもりである。公共交通という言葉自体、さまざまなとらえ方があって、そこで混乱すると、まるで収拾がつかなくなってしまう。その意味で、あらためて公共交通の概念を検証したうえで、新しいシステムの追求、さらに鉄道など軌道系とバスを中心とする道路系に分けて考察した。それに加えて、水上交通にも言及したのは、本巻の特色である。公共交通の整備には、当然のことながら、施設を中心とするハード面があり、運行の改善などのソフト面がある。両々相まって、公共交通の整備は前進するのであり、それが車の両輪のように機能しなければ前進は望めない。それを、いかにして実現するかに焦点が合わされたのは当然だろう。また、こうしたテーマでは、外国の先進事例に目を向けることが不可欠だろう。現地での調査研究に、かなりの紙数を割いたのも、そのためであった。公共交通の活性化方策についても、ほぼ同じスタンスでアプローチしている。
第2部の「公共交通復権への挑戦」は言ってみれば、ケーススタディということになろうか。公共交通の復権に向けて、全国各地でさまざまな意欲的な挑戦が試みられているが、その1つ1つに優れたアイデァと主体的な努力を見ることができるはずである。
東京・武蔵野市のムーバスのように、全国的な話題になり、見学者が後を絶たない例があるが、それぞれのケースについて、より具体的に記述するには、むしろ紙数が足りないといううらみが残るかもしれない。私企業の例があれば、地方自治体の例もあり、かなり変化に富んだケーススタディであるが、いずれにも共通しているのは、果敢なフロンティア精神に貫かれていることである。そこから教えられることはけっして少なくない。
いま公共交通は転機に立っており、この先も多くの困難に当面することが予想される。しかし、もし現状のまま公共交通が衰退をつづけることになるとすれば、それは地域にとって貴重な足を失うことになるだけでなく、国民的にも国家的にも大きな損失となろう。そうした閉塞状況をなんとか打破したいという思いが本巻には籠められている。
1997年3月6日 山本雄二郎
●編集を終えて
高齢者などの移動制約者やバス交通不便地域への交通サービスとして、コミュニティバスが各地で検討され始めています。私共もお手伝いしました武蔵野市のムーバスが影響しているであろうと考えますと、感慨深いものがあります。
また、バリアフリーという考え方も、住宅や日用品、公的施設から、街という公共空間へと広がりを見せています。この2つの考え方に共通していることは、これまでの施策の延長でないことと、行政のいろいろな部門や市民・企業などの多くの主体が関わるごとの2点ではないでしょうか。
話は変わって、阪神・淡路大震災の不幸な経験を生かして、防災への取組みが盛んに行なわれ、地域防災計画も見直しや策定が進んでいます。しかし、地域防災計画は事後対策が中心ですから、防災本来の事前対策が抜け落ちていることになります。
この事前対策は、行政の殆どの施策に関わってきますから、それを進めるためには、行政体に防災の専門家が必要となりますが、果してスペシャリストを置いている自治体はどれ程あるのでしょうか。自治体に数人の防災のスペシャリストがいて、各施策を防災というスクリーンを通して見直し、市民の人命や財産の被害を少しでも減らすという取組みが加わってこそ、防災の本来の姿と言えるのではないでしょうか。スペシャリストは1人でもいい、とにかく人材を確保し活躍できる環境を整備することが求められています。
このことは、交通についても言えます。コミュニティバスやバリアフリーに限ってみても、担当部門は行政内・外との調整が大きな仕事になります。交通に関する知識や情報の蓄積などと同時に、関係者(機関)のコーディネートという作業を進めなければなりません。そのプロセスこそが重要で、それに関する情報は多くは「人」にストックされます。文字情報として記録に残しにくい面があるからです。難しいことは分かりますが、一日も早い実現を願わずにはいられません。
本巻ではこのことに直接触れてはいませんが、多くの先進的取組みにはそれを支えている「人」がいるということから、その端緒をうかがい知ることができると自負しています。
尚、本巻では当初予定していた著者が発刊に間に合わないため、巻8、12に参画していただくことにしました。お詫び致します。難しいテーマに挑戦しましたが、編集委員、著者の熱意に支えられて刊行することができました。厚く御礼申し上げます。
(緑川) |
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