資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ25 交通計画集成 巻6
駐車場の整備手法と活用の施策
都心活性化と公共施設の有効利用
[監修] 高田 邦道/日本大学 理工学部 教授
書籍の概要
体裁 |
A4判/185頁 |
発刊 |
1997年9月 |
定価 |
9,514円(本体価格)+税 ISBN 978-4-925069-71-7 |
執筆者
※役職は講演
又は執筆時 |
高田 邦道/日本大学 教授
小林 晃/㈱日本能率協会 総合研究所 主幹研究員
上野 和彦/駐車場案内システム研究会 代表幹事
小林 晃/駐車場案内システム研究会 代表幹事
鹿島 茂/中央大学 理工学部 教授
清水 忠/東京都足立区 都市開発課長
秋山 尚夫/警視庁 交通部 管理官 (都市交通対策課)
黒後 久光/日本信号㈱ 営業本部 交通システム営業部
大橋 路信/日本電信電話㈱ 下関支店 設備部 課長代理 (元.基町パーキングアクセス㈱)
大竹 正孝/武蔵野市 交通対策課長
佐々木定男/日本信号㈱ パーキングシステム営業部
高橋 洋二/東京商船大学 流通情報工学課程 教授
久保田 尚/埼玉大学 工学部 助教授
中野 恒明/㈱アプル総合計画事務所 代表取締役
延藤 安弘/千葉大学 工学部 教授 |
申込方法 |
申込用紙(フォーム)に下記の所要事項を記入の上送付下さい。2~3日以内に発送致します。
■所要事項 : 勤務先、氏名、所属部課役職名、所在地、TEL、FAX、MAIL、支払方法、必要書類、等
■申込用紙 : お申込みフォーム FAX・メールでのお申込み |
書籍の内容構成
第1章 中心市街地の駐車施設 ―整備と計画の手法
1. 駐車施設の整備・活用と中心市街地の活性化
高田 邦道 (日本大学)
2. 駐車施策と施設整備計画
高田 邦道
3. 駐車場の整備・活用に関する制度と自治体の違法駐車防止条例
小林 晃 (日本能率協会)
4. 駐車場案内システム導入の計画手順
上野 和彦・小林 晃 (駐車場案内システム研究会)
5. 海外における駐車対策と付置義務制度
鹿島 茂 (中央大学)
第2章 中心市街地の駐車施設 ―ソフト・ハードの実践報告
1. [足立区]まちづくり会社による商店街駐車場の開設と運営
清水 忠 (足立区)
2. [新宿地区]駐車誘導システムの構築とその効果
高田 邦道・秋山 尚夫 (警視庁) 黒後 久光 (日本信号)
3. [広島市]基町地下駐車場ネットワークシステム
大橋 路信 (元.基町パーキングアクセス)
4. [武蔵野市]違法駐車防止条例と既存駐車場の有効活用
大竹 正孝 (武蔵野市)
5. パーキング&コミュニケーションシステムの開発と今後 ―パーク24の取り組み
佐々木 定男 (日本信号パーキングシステム)
第3章 住宅地の駐車場整備
1. 集合住宅等における駐車場の新・増設
高橋 洋二 (東京商船大学)
2. 住宅団地の駐車場の将来に関する調査
久保田 尚 (埼玉大学)
3. 住宅団地における駐車場整備と環境デザイン
中野 恒明 (アプル総合計画事務所)
4. 住環境を重視した駐車場の整備
延藤 安弘 (千葉大学)
●監修にあたって
車は走るばかりでなく、止まる機能も兼ね備えている。その止まる時間の長さも走行時のそれに比べてはるかに長いことは周知のとおりである。しかしながらである。その止まる行為に対して十分な公共計画による対応ができているかというと必ずしも十分でない。都市計画あるいは都市交通計画的対応は、付置義務駐車施設をうたった駐車場法や個々人の所有する車を収める車庫法といった制度が整備されているものの、いずれも建物あるいは所有者に対してである。そのことが10年前のバブル経済の時期に爆発し、社会問題化したことは記憶に新しい。行唾でも素早くこれに対応し、1/4世紀振りに駐車関連法を整備したり、公的機関による駐車場整備の体制を整えたり、あるいは民間が建設する駐車施設に対する低利融資や無償融資あるいは利子補給の仕組みがつくられた。そしてまた、物流対策としての付置義務荷さばき施設の制度もつくられた。本書の前半は、このプロセスと制度の解説を中心に集録した。
このように、駐車施設整備の物的計画はかなり進んだものとして定着してきた。しかし、駐車場の有効利用や駐車場までの案内・誘導、さらには駐車スペースの空き具合のコントロールによる地区交通管理の方向が示されているものの、その具体的な議論はこれからである。本書では、まだその議論は煮詰まっていないまでも、方向性を示すことに意義ありとして、コンセプトあるいは、概略設計の段階のものも含めて地区毎のケーススタディを中心に集録することにした。未だに東京都内の路上に16万台近くの駐車車両があるという。他の都市も多かれ少なかれ同様な現象が続いており、公共空間の有効的な観点から、また安全性や景観の観点からこの駐車問題を解いて行かねばならないだろう。それは、ただ単に公共計画としての立場のみならず、商店会や商工会あるいは地区住民の立場からこの駐車対策に取り組まねば、安全で、景観的に優れたまちづくりは難しかろう。
また、ドライバーの協力も必要であり、取締り、罰金による駐車ルールの遵守に頼るのではなく、協力せざる得ないような美観に優れた交通秩序が保たれたまちづくりを期待する次第である。
読者が本書からヒントを得、新たな取り組みにチャレンジし、新世紀の都市交通計画あるいは都市交通管理の体制ができ上がれば著者一同望外の喜びとなろう。
1997年7月11日 高田 邦道
●編集を終えて
団地に住む一人として、また本巻で取り上げている浦安市入船西エステートの住民として駐車場の問題の深刻さは、実感できます。ボンエルフや2階建駐車場建設で駐車場率は上がりましたが、100パーセントには届きません。管理組合としては、まだ大きな宿題を抱えていると言えます。
しかし、たとえ100パーセントにしたとしても、駐車の問題は解決できないのではないのでしょうか。それは、2台目、3台目という潜在的な根強い需要があるからです。もちろん、自動車を手放したり利用しない人もいますから一概には言えませんが、需要を満たすといった考え方を見直す必要が出てきていると思えるのです。それは、私も含めた利用の実態をみますと、非日常的な利用、つまり旅行や帰省、休日の買物といった利用が過半を占めているからです。これに加え、管理コストの負担の面を考慮すると、共有やレンタルシステムがあってもいい。例えば、東京都練馬区では自転車のレンタルサイクルを試みていますが、自動車でも同様の方法が考えられないものでしょうか。
白治体の財政状況が厳しい時代を迎えて、インフラ整備施策も転換を迫られています。反面、都心の衰退傾向は止まらず、効果的・効率的な投資への模索が始まっています。限られた財源の中での都心対策には困難が伴いますが、これを機会に都市開発や道路整備といったハードの事業中心・事業先行型の政策を見直してみるのもいいのではないでしょうか。
例えば、交通に限ってみても、マスタープラン的なものがありません。道路や駐車場の整備、商店街整備、自転車対策といった個別の計画はあります。しかし、都心で人が住み、働き、憩うための交通計画はありません。歩行者、自転車、自動車、公共交通を取り込み、移動制約者へも配慮した総合的な計画が必要になってきているのです。個々の事業にとらわれすぎることなく、自治体だからできること、やらなければならないことをもっと大切にする時代が来ています。住み、働き、憩う市民の姿を思い浮かべ、その二一ズを生かした対策は、自治体こそ実現できると思います。
本巻がこれまでの定量的な計画要素に、市民二一ズや高齢化社会といった定性的な要素を加えた交通計画のマスタープランの登場に役に立てることを願っています。当会の一大事業となったこの出版企画がここまで来れたのも、編集委員の励ましとご助力、そして執筆者のご協力の賜と厚く御礼申し上げます。
(緑川) |
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