資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ28 「地方分権」 巻8
個人情報保護関連5法施行に備える実践マニュアル―
プライバシーの保護とセキュリティ
―その制度・システムと実効性
~信頼・信用と安全・安心を担保する三位一体(制度・対策・研修)の対策~
[監修] 宇賀 克也/東京大学大学院 法学政治学研究科 教授
書籍の概要
体裁 |
A4判/404頁 |
発刊 |
2004年10月18日 |
定価 |
12,000円(本体価格)+税 |
著者
※役職は講演
又は執筆時 |
宇賀 克也/東京大学大学院 教授
兼子 仁/東京都立大学 名誉教授
中村 栄孝/上田市 総務部 総務課 文書法規係長
増渕 俊一/草加市 総務部 自治推進課 行政担当リーダー
遠山 信幸/三鷹市 市民部 市民課 届出・証明係 主査
奥津 茂樹/情報公開クリアリングハウス 理事
牧島 精一/東京都杉並区 政策経営部 総務課 副参事
木村 修二/(財)関西情報産業活性化センター IDC事業部 担当部長 (元.宇治市 情報管理課 課長)
白井 善裕/神奈川県 県民部 情報公開課 個人情報保護班 主幹
諸橋 昭夫/行政情報研究所 所長
臼井 義美/情報セキュリティ研究所 代表理事
藤岡 孝/橿原市 総務部 総務課 情報公開室長 |
申込方法 |
申込用紙(フォーム)に下記の所要事項を記入の上送付下さい。2~3日以内に発送致します。
■所要事項 : 勤務先、氏名、所属部課役職名、所在地、TEL、FAX、MAIL、支払方法、必要書類、等
■申込用紙 : お申込みフォーム FAX・メールでのお申込み |
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書籍の内容構成
●はしがき
2003(平成15)年5月23日に個人情報保護関係5法が制定されたことは、わが国の個人情報保護法制の歴史上、画期的な意味を持つ。すなわち、初めて、民間部門を対象とする個人情報保護の一般法が制定され、法的規制のなかった事業分野が基本的にすべて「個人情報の保護に関する法律」の法的規制に服することになったのである。
また、公的部門においても、国の行政機関を対象とする「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」が全部改正され、新法である「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」は、旧法に比べて個人情報保護を大きく強化している。また、法的規制のなかった独立行政法人等についても、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」が制定され、基本的に国の行政機関と同等の個人情報保護の法的措置が講じられた。
さらに、「情報公開・個人情報保護審査会設置法」により、内閣府の情報公開審査会が拡充改組され、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」に基づく不開示決定等に係る不服申立てがなされた場合、中立的な情報公開・個人情報保護審査会への諮問が原則として義務付けられることになった。地方公共団体においても、個人情報保護条例の制定・改正が急速に進行中である。このように、法制度の面において、個人情報保護措置を拡充することは重要であるが、法制度は万能ではない。個人情報保護措置は技術的側面からも強化されなければならない。
そこで、本書では、個人情報保護のための法的対策のみならず、技術的なセキュリティ対策についても併せて論じている。本書の大きな特色として、個人情報保護とセキュリティ対策の分野で先進的な取組みを行ってきた地方公共団体の事例を多数掲載していることが挙げられよう。これらは、他の地方公共団体にとってのみならず、国、独立行政法人等、民間の個人情報取扱事業者にも大いに参考になるものと信じている。本書が、幅広く参照され、わが国の個人情報保護とセキュリティ対策に多少なりとも貢献することができれば幸いである。
2004年8月23日 宇賀克也 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
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●編集を終えて
去る2004年8月2日、当会では本書の監修者でもある宇賀氏をはじめ、研究者、弁護士、国・自治体職員を講師として、個人情報保護法の本格施行(2005年4月)に向けてのシンポジウムを開催しました。基本方針や個別分野におけるガイドライン・個別法等の最新動向を踏まえて、個人情報取扱事業者や公的機関はそれらにどう対応する必要があるのか、その問題点や課題などを明らかにすることが開催の目的でした。パネル討論においては、市民の個人情報を守り信頼・信用を得るためには、個人情報を保護する方針としてのセキュリティ(プライバシー)ポリシーを示し、それに則った対策や従業者の教育が重要であるという点で議論の一致をみることとなりました。
その中で教育・研修については、その重要性は十分確認されているとはいうものの、実効性のある方策をどうするのかは非常に難しいのではないかということを実感しました。多くの個人情報流出事件が、委託先社員を含む内部関係者の犯行によって起きていることからも明らかなように、その原因には従業者のモラルといった「人」の問題が大きなウエイトを占めているからです。この問題に対処するための出発点としては、セキュリティのシステムを整備することが第一義的な要件となりますが、日々の業務において危機感や問題意識を持たずに個人情報を扱っている一般職員・社員の意識を高めること、そのために分かりやすい言葉・内容・表現方法によって、まず個人情報保護の大切さや必要性を理解してもらうことが求められています。
一方で、多くの企業・自治体では業務の効率化や経費削減のために、アルバイト・パートや派遣社員の増員が進んでいるようですが、こういった短期の契約社員に対してどのように対応するのかといった問題もあります。やはり、社会システムとしての安心・安全のためには、宇賀氏が本文中で述べているように、学校教育の段階から個人情報の重要性などの意識を高めていくことを始める必要があるのかもしれません。
本書の編集に携わり、公的機関及び企業の担当者・専門家のための実践的なマニュアルとして、制度や規則の作成、セキュリティ対策、教育・研修を行う際に大いに活用いただける内容になったのではないかと感じています。次の機会には、映像を活かして目と耳で理解できる職員・社員向けの研修教材の作成に挑戦したいと考えています。本「地方分権」シリーズの充実をめざして、今後も企画・製作を推進していく予定でおります。ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。
最後になりましたが、監修をお引き受けいただき構成や内容等を含めてご指導下さいました宇賀氏、並びに執筆者の皆様へ厚く御礼申し上げます。
2004年10月8日 地域科学研究会 (緑川/石田)
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