映像シリーズ (VHSビデオ/DVD)のご案内 (まちづくり映像シリーズ No.1~47)
型式 | オートスライド(VHSビデオ)、シナリオ付き、81コマ/17分 |
定価 | 24,525円 (税・送料込) |
完成 | 1986年12月 |
申込方法 | 申込用紙(フォーム)に下記の所要事項を記入の上送付下さい。 ■所要事項 : 勤務先、氏名、所属部課役職名、所在地、TEL、FAX、MAIL、支払方法、必要書類、等 ■申込用紙 : お申込みフォーム FAX・メールでのお申込み |
煌煌たる「あかり」に満ちた現代都市は文明の象徴でもあります。しかし、その中では星影を見ることも できない。一方、夏の日差しは10万ルックス、満月の月あかりは0,2ルックス。照度計ではない、人間の感性で計る昼の光と夜のあかりについて、あるいは夜がもっている人間の想像力をかきたてる力や神秘的な魅力を大切にしなけれぱなりません。
ヨーロッパやアメリカの「あかり」を取材することは、都市を照明することの意味を見い出すことです。 世界で初めてパリに街路灯が点ったのは1718年。街路空間は、都市生活にとって重要なもの、その街路を美しく魅惑的にするための欧米の様々な照明は、技術やデザインばかりでなく、公共空間や夜に対する考え方を語りかけてくれます。街路灯はまた、夜にかぎらず重要な外部空間の景観要素なのです。
パリの夜空に浮ぶノートルダム寺院に深い感銘を受けた人は多いことでしょう。歴史的建物やモニュメントに光を当てて、都市のシンボルとしたり、都市の夜に魅力を生み出すことは、都市の時代にとってもっともっと試みられていいはずです。それは周囲を隠し、時間を飛び超えさせる闇と光の不思議なマジックなのです。
市庁舎や教会などの広場は、市民にとってコミュニティの拠点です。それらの広場も夜になると、周辺の建物、そこに設置された彫刻や噴水、モニュメント等が、光の中に様々に形どられた姿を浮び上がらせます。その都市の個性や歴史を無言のうちに表現しているのです。また、人々のふれあいの場所となる街角の小さな広場には、やすらぎや潤いのある「あかり」が必要とされているのです。
商業空問にとって照明は命。快適なモールは、良くデザインされたストリートファニチャーや路面、樹木 によって独特の個性を演出し、賑わいを見せています。都市型生活をエンジョイさせるため、夜も街路灯とショッピング・ウィンドーが醸し出す明るさの妙が入々を引きつけ、遅くまで人通りが絶えません。なにが人々をそんなに引きつけるのかを探らねばなりません。
夜の水辺は、昼とは違う魅力をもっています。港や川といった水辺で、水の持つ豊かなイメージを「あかり」によって演出する様々な試みが行われています。そこは、出会いや語らい、憩いの場所として、人々をくつろぎの中へ開放するのです。
ただ明るければ良いという照明から、人々の心を豊かにするような潤いある「あかり」が求められるように なりました。それらは、歴史や気候風土の中で培れてきています。光を語るとは闇を語ること、照明は「あかりをつくり出す手段であって目的ではないはずです。私たちの街の「あかりも、歴史や文化と共に、心に点る「あかり」を目指していかなければなりません。
イタリヤは光に満ち、イギリスは霧の中に沈む。 |
プランナー・デザイナー 泉 眞也日本人は元来、街の色に対して非常にセンシブルな民族であった。特に紙や木などの柔らかい材料の使い方に関して優れていた。 それは古い街並みや映画をみると、プロポーションや、人工物と緑の配置の割合いなどに表われている。 ヨーロッパの人たちは長い間石やレンガを初め、おそうした材料を使って街をつくってきたので、どうすれば美しい都市を生み出せるかという経験が豊富である。 その意味で、スライドというのは映画より細かい情報やニュアンスを伝えられるメディアであるので欧米に学ぶ上で有意義である。 それぞれの地域や歴史、市民の感性にあった街をつくろうとする時に、“都市の色と彩り”は大変役に立つといえよう。 (株)横浜みなとみらい21企画部長 若竹 馨“快適な都市環境の中で充実した生活をしたい”という願いは、私達共通の想いであろう。 コントロールされた街の色彩、緑あふれた街並、美しい水辺、デザインされた個性的な都市照明等々。 だが現実の街は、どぎつい色を使ったネオンや看板が氾濫し、おせじにも街は快適であるとはいえない。 魅力と個性にあふれた都市空間の創設のためには、市民・一人一人が自からの力で、その地区の都市環境にみあったものにしていく努力が必要である。 それにはまず、すぐれた都市空問を有する、諸外国の例を見学することも大切であろう。 幸いにも、此度、地域科学研究会かち“都市の色と彩り”と“都市の照明とあかり”というオート・スライドが刊行された。諸外国の優れた都市空間がビジュアルに見られる。個性と魅力にあふれたわが街を創っていこうと努力している入々に大きな示唆を与えてくれるであろう。 都市・交通問題評論家 岡 並木1986年の晩秋、4夜にわたって横浜都心の由緒あるビル棟が、強い照明を浴びて夜空に浮び上った。その2日目の夜は雨。 だが沢山の市民が、雨の中、照らし出された建物の前に佇んでいた。 その人たちにとって、屋内や道路を照らす実用的な照明と違って、建物を外から照らすという遊びの照明は、一種のカルチュアショックだったに違いない。 いや今回だけではない。照明の歴史の節目節目には、つねにショッキングな感動があった。 たとえば100年前、日本で初めての大量の白熱灯が大阪の紡績工場で輝いたときには、3日間に5万人が見物に押しかけた。 1960年、ヨーロッパの視察に出かけた警視庁交通部長の富永誠美さんが、何より驚いたのは、都市の夜道にネックレスのように連鎖して輝く車道照明の青い水銀灯の光だった。 暗い裸電球の街灯しか知らなかった富永さんにとって、車道を煌々と照らすというヨーロッパの発想は、カルチュアショックだった。 しかし先人たちが驚いた照明の数々も、いまは日本でも、何でもない目常の「あかり」になった。 だが欧米の街には、まだまだ日本では日常化していないさまざまな照明の知恵がある。 三沢浩さんの監修の「都市の照明とあかり」はその姿を鮮やかに映し出し、夜の楽しさの演出は、奥がいかに深いかを教えてくれる。 |
脚本・演出 細谷孝子 撮影 及川知也 演出 緑川冨美雄 |