資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ25 交通計画集成 巻4
交通結節点の計画と短距離交通
移動制約者の「壁」と交通計画
[監修] 太田 勝敏/東京大学大学院 工学系研究科 教授
書籍の概要
体裁 |
A4判/180頁 |
発刊 |
1996年10月 |
定価 |
9,515円(本体価格)+税 ISBN 978-4-925069-69-4 |
執筆者
※役職は講演
又は執筆時 |
太田 勝敏/東京大学大学院 教授
岡 並木/評論家 (比較都市論)
望月 明彦/茨城県 土木部 都市計画課長
武政 功/建設省 都市交通調査室 課長補佐
伊豆原浩二/(財)豊田都市交通研究所 研究企画部長
越智 健吾/建設省 街路課 新交通システム係長
梶野 昌利/(株)神戸製鋼所 都市環境本部 新交通システム室長
柳川 平和/(株)ディア四日市 参事
加藤 廣/(株)社会計画研究所 取締役 |
申込方法 |
申込用紙(フォーム)に下記の所要事項を記入の上送付下さい。2~3日以内に発送致します。
■所要事項 : 勤務先、氏名、所属部課役職名、所在地、TEL、FAX、MAIL、支払方法、必要書類、等
■申込用紙 : お申込みフォーム FAX・メールでのお申込み |
書籍の内容構成
第1章 移動の連続性向上と交通結節点
1. 交通結節点の計画と短距離交通システム
太田 勝敏 (東京大学)
2. 移動の連続性と結節点
岡 並木 (評論家)
3. 短距離交通システムの導入・整備方策
望月 明彦 (茨城県)
武政 功 (建設省)
4. 短距離交通システムの必要性とその背景 ~都市交通計画と都市内移動装置~
伊豆原浩二 (豊田都市交通研究所)
5. 快適な交通結節点の整備
越智 健吾 (建設省)
第2章 ケーススタディ
1. 短距離交通システムの技術と可能性
梶野 昌利 (神戸製鋼所)
2. 四日市一番街商店街のループバス
柳川 平和 (ディア四日市)
3. 地方都市中心部における短距離バスの実験 ~豊田市を例として~
伊豆原浩二 (豊田都市交通研究所)
4. 世界に学ぶ交通結節点の計画とデザイン
加藤 廣 (社会計画研究所)
第3章 資料:「短距離交通システム」
まちづくり映像シリーズ24 「短距離交通システム」の完成台本
●監修にあたって
21世紀を間近に控え、都市化、高度情報化、高齢化、国際化といったキーワードで語られた都市のイメージも、環境、市民参加、まちづくりといったより質的な、主体的な意味づけを持った具体的プロセスの中で、身近な生活環境を見直す形で深まっているように思われる。交通結節点と短距離交通システムは、都市交通をめぐる従来の議論では、見逃されがちなテーマであった。現在、これらの計画が注目されてきた背景には、それなりの理由がある。
社会の自動車化が進み、現在のような自動車依存型の都市生活の見直しが迫られる中で、自動車をはじめ徒歩、自転車、そして公共交通機関といった様々な交通手段の特性を活かして社会的により適切に使い分ける方向、すなわち都市交通の適正化とマルチモーダル化の推進が必要となっている。交通結節点は、このような都市交通のマルチモーダル化の要(かなめ)である。
交通結節点の代表である鉄道駅は、広域の地域、全国あるいは国際交通のネットワークと都市交通ネットワークを結ぶキーポイントである。また、都市内の交通システムは、徒歩、自転車、路線バスといった身近な面的交通サービスと路面電車、幹線バス、鉄軌道といった幹線交通サービスの2つの異なったレベルでそれぞれネットワークが形成されており、それら相互の結節性が交通システムの効率化の鍵となっている。このように、交通結節点は異なるレベルの多様な交通手段の相互連携により成立するマルチモーダル都市交通システムの戦略拠点である。しかし、利用者、特に高齢者や障害者にとってマルチモーダル化は、交通手段の乗り替えを意味し移動の連続性の点では障害にもなりうるものである。都市では交通結節点施設の複合化、巨大化、立体化が進んでおり、平面移動だけでなく複雑な上下方向の移動が必要となっていることから、物理的にもその計画、設計は重要な課題である。
地方都市の中心駅がその都市の玄関として重要な機能を果しているように、主要な交通結節点は、異種交通手段の結節点であると同時に地域との結節点でもある。短距離交通システムは、徒歩を支援するシステムとして、メガストラクチャー化する交通結節点の内部での移動や、交通結節点と周辺地区、とりわけ個性的なまちづくりの拠点として重要な伝統的な中心商業地とのスムーズな結節、そして市街地内部での移動の利便性、快適性を高めるものであり、これからの高齢社会においては、オフィス、マンションの中にあるエレベータ、エスカレータと同じように、市街地の要所に不可欠な標準設備・サービスとして整備していく必要があろう。本書は、交通結節点と短距離交通システムについてまちづくりを視点に、その技術、計画、設計に関し、最近の考え方、事例について多面的に解説、紹介したものである。人にやさしい交通とまちづくりに役立てば幸いである。
1996年10月15日 太田 勝敏
●編集を終えて
数年前、足の弱くなった母を車椅子で散歩や買物に連れて歩くことがありました。ある時、電車に乗ろうと思いつきました。私の住む埋立地の団地から駅の改札口までは、歩車道の段差やスロープでぎくしゃくしながらも辿り着きました。しかし、その先に階段という大きな「カベ」があることまでは考えてもみませんでした。改札口の前であきらめることにしたのです(現在はエスカレーターがついています)。
そこで私たちの生活している公共空間や環境を、移動の連続性や歩行支援といった視点で振り返ってみますと、まだまだ「カベ」があります。交通結節点や公共施設、生活利便施設では様々な取り組みがなされています。しかしそれは点としてであって、線的につながりをつくる、面的な広がりを持つといったトータルなシステムになっているとは言えません。
短期間で都市環境すべてをつくり変えることは難しいことです。それならせめて、点を線にすることはできないものでしょうか。その1本の線が都市を貫き、あるいは巡りつないでいることの意義や効果には大きなものがあると思えるからです。この線を媒介にして都市に人通りが増え、にぎわいが生まれるかもしれません。文化を伝統的に相続される社会的行動規範とするなら、私たちは技術にこだわりすぎているようです。もっと日本や海外の文化を学び、そのソフトを生かしたまちづくりをすることこそが大切な時代になってきていると思えるのです。
当会の一大事業となったこの出版企画は、編集委員の方の励ましとご助力、そして執筆者、編集協力者各位のご協力により刊行にこぎつけることができました。ありがとうございました。
(緑川) |
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