資料シリーズ(書籍)のご案内 (まちづくり資料シリーズ、シリーズ・内発的発展)
まちづくり資料シリーズ25 交通計画集成 巻1
交通需要マネジメントの方策と展開
都市政策と交通システムの連携
[監修] 太田 勝敏/東京大学大学院 工学系研究科 教授
書籍の概要
体裁 |
A4判/210頁 |
発刊 |
1996年10月 |
定価 |
9,515円(本体価格)+税 ISBN 978-4-925069-66-3 |
執筆者
※役職は講演
又は執筆時 |
岡 並木/評論家 (比較都市論)
太田 勝敏/東京大学大学院 教授
望月 明彦/茨城県 土木部 都市計画課長
武政 功/建設省 都市交通調査室 課長補佐
山本雄二郎/高千穂商科大学 商学部 教授
栃木 義博/日本私鉄労働組合 九州地方連合会
大西 隆/東京大学 工学部 教授
久保田 尚/埼玉大学 工学部 助教授
原田 昇/東京大学 工学部 助教授
小菅 孝嗣/警察庁 都市交通対策課 課長補佐
飯田 恭敬/京都大学大学院 工学研究科 教授
扇澤 昭宏/警察庁 交通規制課付
森田 稔/城西国際大学 経営情報学部 教授 |
申込方法 |
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書籍の内容構成
●監修にあたって
交通需要マネジメント(TDM)は、現代の自動車交通がもたらした道路渋滞、NOxなど大気汚染、交通環境問題に対する新しい政策コンセプトとして注目されている。当初は米国において、従来のアプローチでは、道路交通需要の増大に対応できず、道路渋滞、環境問題の深刻化を招いたことから、新たな対応として交通需要サイドからのアプローチが1980年代後半より重視されるようになったものである。
わが国においても1990年代になって、同様の背景の下に、道路整備政策の中で、道路交通の円滑化を主眼にして、従来の道路整備と交通容量の拡大といった供給サイドからのアプローチと並行してTDMへの取り組みが始まった。世界的にも、自動車交通へ過度に依存したライフスタイルが都市スプロール、エネルギー多消費、環境汚染など広範な社会問題を発生させているとの認識から、車依存性の少ない都市と交通をめざす動きが進んでいる。特に、1992年の地球サミット以降は、「持続可能な交通(またはモビリティ)」といった方向で、環境との共存をめざす交通システムの構築が進んでいる。
TDMは、モビリティを損なわず、できればより高める方向で、交通の仕方を変更することにより、環境や道路渋滞を減少させようとする考え方である。その特徴は、交通需要の本源であるわれわれ自身の生活、経済と産業の仕組みから交通を抑制ないし縮減し、自動車の利用を減少させようとすることにある。このため、車の運転者として、あるいは物流の荷主としての一般住民、企業、商店など民間を巻き込んだアプローチが重要である。米国でみられる企業ベース、あるいは交通管理組合といったコミュニティベースの取り組みが重要な役割を果している点が、従来の官主導の道路交通政策のアプローチと異なっている。
ソフト面での対策が多いTDMも、バス専用レーンとパークアンドライド施設、鉄軌道システムなどにより快適で魅力的な代替的交通サービスがあって初めて効果が上がることからわかるように、あくまでハードの供給サイドの施策との一体的整合的な政策パッケージに位置づけられることが大切である。
本書では、わが国で本格的取り組みが始まったTDMに関して、都市交通政策の新しい方向全体のコンテキストの中で、その基本的考え方、制度、政策の動向、内外の具体的事例、課題について解説したものである。れからのマルチモーダルな都市交通システムにおいて車を社会的に適切に使いこなすような成熟した「車」社会め構築に役立てば幸いである。
1996年10月15日 太田勝敏
●編集を終えて
私たちは、武蔵野市のコミュニティバス「ムーバス(1995年11月運行)」(巻8、11、12参照)の調査に携わることができました。この新しいバスシステムは、岡並木氏と山本雄二郎氏の指導と土屋正忠市長のリーダーシップ、運輸省や警察、バス事業者等の協力と連携から生まれたものです。
その調査は、グループインタビュー調査や路上観察調査、ヒアリング調査といった方法を用い、そこから交通に欠かせない市民(利用者/高齢者)の二一ズを把握しました。それをベースにしてまず武蔵野市市民交通システムが、そしてムーバスが生まれたのです。アンケート調査や需要予測調査をしないムーバスの運行開始には不安がありましたが、スタート後約1年の経過をみると、順調に滑り出しており安堵しています。
私たちは以前から、交通は人間の生理や心理といった本音の部分に左右されることが多いと考えていましたので、調査に当たっては、それをどう見つけ出し、いかに市民交通システムやコミュニティバスに生かすかに配慮しました。翻って日本では、交通事業者や交通計画の担当者等が市民や利用者の二一ズを調査したという話をあまり耳にしません。これから本格化するであろうTDMには、ぜひマイカー通勤者や市民、高齢者、企業等の生の声、つまり二一ズを採り入れて計画をつくり実践していって欲しいものです。
当会の一大事業となったこの出版企画は、編集委員の方の励ましとご助力、そして執筆者、編集協力者各位のご協力により刊行にこぎつけることができました。ありがとうございました。(緑川)
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