セミナー主催者の異見・主張

2008年10月1日    
   2019年8月15日 改訂

“経済原則”と“受益者負担”の明解さ
〜一日モノセミナー参加費の4万円は“高い”のか〜

青野 友太郎
地域科学研究会 高等教育情報センター 代表



 小会の諸活動は,42年目を迎えています。“まちづくり”と“高等教育”に係るキーパースン各位に支えられ,ささやかながら公益・非営利的活動を持続しております。
 さて,小会の活動へのマイナス評価として,次の様な批判を従前から受けております。

  • 「セミナーの参加費が高い」
 最近も,そのような質問を受けましたので,ここで,小会のスタンスを表明したいと存じます。

 まず,次の事項について,考えてみたいと思います。

  1. 各セクターにおいて,セミナーやシンポジウムが開催されておりますが,その際,主催者において,当然のことながらコスト(諸費用)がかかっております。
    つまり,(1)企画・講師依頼(人件費),(2)広報,募集(パンフ印刷/送料等),(3)実施(講師料/会場代/資料作成代等)の段階でのもろもろの経費です。
  2. そのコスト内訳は(1)直接人件費,(2)直接経費,(3)諸経費,(4)技術経費,及び(5)消費税で構成されます。
    そして,これらは“経済原則”としていかなるセクターにとっても,必要となるコストです。
  3. そのコストを,参加者人数で除すると,一人あたりの開催コスト(参加負担金)となります。
  4. 参加費が「無料」であったり,「2,000〜5,000円」に設定してあっても,主催者にとっては,コストはしっかりかかっています。参加者はその差額について主催者から“贈与”を受けているといえるでしょう。
  5. つまり,国・自治体のセミナー・シンポジウムであれば,“税金”,諸団体であれば“基金・年会費”,企業であれば“PR・営業・メセナ費”が“原資”となっております。
  6. その意味では,参加者(受益者)は,最終的にはどこかで,その開催コストを負担しているといえます。

  7. さて,小会KKJのセミナーの標準仕様は次の通りです。
    • 一日モノ/講師4人/各90分の講義+質疑応答
    • DM対象/全国の国公私の大学・短大・高専1,300校/1大学平均5〜6通
    • メールニュース/キーパースン7,500人
    • メールニュース/業務用アドレス3,500課室
    • 企画から開催までの期間/2〜3ヵ月
    • 参加対象/個人ではなく,団体・機関が主体
    • 配布資料/約50頁
    • 参加者名簿/氏名・所属リストを配布
    • 参加者人数25人/参加費4万円
  8. 上記の諸費用のコストを合算し収支をみると,1人あたりの参加費は,決して“高い”ものとはいえないことが分かります。
  9. そして,何よりも重要な事柄は,参加者はそのセミナー・シンポジウムの“情報価値”を団体・組織として評価し,参画されているということです。
  10. 参加者へのアンケート結果をみると,8割以上が“満足”・“ほぼ満足”の評価となっております。
    小会は1977年以来42年余にわたり,セミナーを開催して参りましたが,参加者からは「“高い”と思ったが,受講してよかったヨ」というのが“結語”であります。
  11. つまり,経済原則に基づく,諸コストへの受益者負担ルールが,“明解”かつ“公正”に貫徹されていることについて,ご賢察・ご高承を賜りたいと存じます。
  12. NPO法人・公益法人においても,実績としての公益性が問われます。株式会社においても「株主に利益を分配せず」であれば“非営利団体”といえます。

以上


KKJトップページへ戻る