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                                        平成28年11月1日

モンゴルと日本両国の交流に産学官連携の枠組み作りを加える提案


ブヤンツォグトー TSO
国立モンゴル科学技術大学
オープン・イノベーション・センター長 前理事長


□ 両国の関係
  長い歴史を有する両国の関係は近年より一層加速し、より実践的かつ実体的なものになりつつある。1990年以降のモンゴルの民主主義の価値観を尊重した新しい国づくりが、今や世界中で評価されるようになっている。日本はモンゴルの若い国家をここ四半世紀の間、経済面で支えて来た事実がある。今年の8月からEconomic Partnership Agreement EPA を結び、正式に実行し始めた。これは今まで両側が納得いくほど進めることのできなかった経済交流の促進につながるものとして、両国民が期待を寄せている制度面での出来事である。

□ モンゴルにおける産業化促進、経済の近代化への必要性
  四半世紀しかたってないモンゴルの民主化は、民主主義を進めている世界中の国々に見本になるぐらいの成功を収めているものの、他方では経済の近代化の過程は、大きく遅れをとっているのが現実である。近年、両政府がEPAをかなりの努力を重ね成立させたのは、この問題を意識し解決策を見出すための試みであると言えよう。
  農業と鉱業に頼るモンゴル国の経済の近代化を促進する必要性は、我が政府の優先的課題となっている。今年の6月総選挙までの与党であった民主党が、2012〜16年までの4年間に産業化に力を入れ、公的資金を投入し実施したきたものの、7月から発足した人民党単独の政権がどのような政策を実施するかはまだ未定だ。

□ モンゴル経済の近代化を支えるべく両国の関係構築
  モンゴル国のここ四半世紀の歴史を振り返ると、 全く正反対のソ連系の社会主義国家だったゆえに、若い民主主義にありがちの、選挙制度の構築や人権を守る社会整備構築等にエネルギーを注いできた。その結果、国づくりに切っても切れない経済の近代化の課題は残されてきている。広大な国土にある多大な地下資源に頼る部分もあり、持続可能な経済の近代化を課題にする心の余地はなかったのであろう。
  しかし、近年の世界経済の低下が持続可能な経済作りに着手せざるえない状況に陥っている。その証拠として、当時の与党党首エンフボルド議長が、6月総選挙直前に訪日し産業化の協力要請、10月中旬の現行首相の正式日本訪問により、この課題は明確になっている。

□ モンゴル経済の近代化を目標にした両国の関係の枠組み(プラットフォーム)
  政府の方針と息を合わせる形でモンゴルの主要大学は、近年イノベーションを目指した起業家大学作りを目標にあげる動きが始まっている。ソ連系の教育制度を改革する試みを行ってきているものの、国づくりに大きな役割を果たすはずの大学セクターは遅れ気味である。アメリカ、日本、ヨーロッパ、アジアの国々に留学した人材が豊富にいるモンゴルの大学であるが、今一つシステム全体としての改革が遅れている。
  そこで、日本の大学で当該分野に前衛的に取り組んでいる経験に学び、モンゴルのコンテクストに合った産学官の連携を実施した枠組みを作り上げたいと切に希望している。
                                              <平成28年10月31日>

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