2015.2.3 改正学校教育法と私立学校法の架橋の創意を
◇改正学教法と学内諸規則改訂の要点
*学校法人には評議員会が設けられているが、これも一定の監督機能を持つ。 この表からわかるように、今回の改正では、私立大学のガバナンスの特徴は学長一人で業務の決定をおこない、執行するところに特徴がある。 このような構造の一番の問題は「学長が常に正しいとは限らない。」という点にある。これをどのように解決するかについて、1.業務決定、2.業務の執行、3.監督というガバナンスの3つの側面から検討してみよう。 1.意思決定システムの構築 学長が常に正しいとは限らないだけでなく、学長が個人で業務を決定することは実務上ほとんど困難であろう。したがって、実務上、学長の決定に至るまでの組織的な仕組みが必要となる。 これを各大学においてどのように適切に設計するかということがガバナンス上大きな課題である。学長補佐体制や高度専門職の養成が今後の課題とされているが、いずれにしてもこれらは組織上、学長のスタッフという性格のものに過ぎない。 2.学長の職務執行体制の整備 学長には所属職員を統督する責任がある。決定された業務が適切に執行されているかどうかを監督する責任があり、また、問題が起きた時に学長が知らなかったでは済まされない責任も負う。こうした権限に伴う責任について、大学は自ら適切な職務執行体制を整備しなければならない。今後、業務組織が機能するには、適切な内部統制の整備と内部監査の一層の整備・充実が重要となってくる。 3.学長に対するモニタリングの仕組み 学長が誤った判断を犯すリスク、学長の職務執行上のリスク(知らなかったでは済まされない。)、不作為の過失(何もしない)リスク、学長が自らの権限に対する認識不足や理解不足から生じるリスク等々、学長権限をめぐるリスクは多い。学長に過重な責任を負わせないためにも、学長に対するモニタリングの仕組みが必要である。現行制度上では理事会と監事がその責を負うが、その役割を十分果たすことが出来るであろうか。 ◇おわりに 学長がリーダーシップを発揮するには関係者の信任を得ることが不可欠である。学長が教授会に意見を聴くにあたっては、「YESといわせる根拠と説得力」と「NOという根拠と説得力」が求められる。この点に関し、内部統制の構成要素である「統制環境*」が示す事項例が参考になる。 1. 誠実性及び倫理観 2. 経営者(学長と読み替えればよい)の意向及び姿勢 3. 経営方針及び経営戦略 4. (略) 5. 組織構造及び慣行 6. 権限及び職責 7. 人的資源に対する方針と管理 *「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」企業会計審議会 さて、この3月10日に開催する下記の「諸規則」セミナーの機会を是非ともご活用くださいませ。 |