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就活生の諸君へのメッセージ〜“異議アリ”“怒り”は放出せよ!!〜



青野友太郎
高等教育情報センター(KKJ)


このメッセージは、大学生の諸君におくるものです。ご縁のある学生たちに転送いただければ幸いです。

  本日の朝日新聞朝刊で、“就活問題”が参議院選の争点の1つとなっていると報じている。しかし、この問題は、当事者たちが“毅然”とシンプルに対処すれば、解決する類のものと考えます。

A.文科省の担当職員の責務
・2008年の大師走、リーマンショック後の“内定取消し問題”で、学生支援課長の下間康行氏をたずねた折、長時間お話しをする機会を得た。小生は、以下のように論展しました。
・「今のこの金融不安の時こそ就職活動のスタートを4年次の夏以降にもどす絶好のタイミングです」
・「文科省は、あくまでも“大学教育の質保証”の観点から、企業に対し、“NON”というメッセージを発信すべきです」
・「この問題は、経産省サイドのマターではありません。“就職協定”期を振り返っても、経産省は経済諸団体に要請し、各団体は傘下の企業に同じく要請するのみであります。悪貨を良貨が駆逐できるシステムになっていません」
・「文科省は、社会に広く“やめませう”“禁止します”と言い切ればよいのです。“違犯”した企業と大学は全て情報公開し、厳しいペナルティを課せばよいのです」。
・「大学生の諸君が、就活に振り回されることから解放され、学生生活を全うできる環境をつくるのは社会と大人の責任です」
・下間氏の精励もあり、その後、文科大臣の発言はやや強まった感がありました。しかし、大臣としての政策への覚悟がありませんでした。

B.文科省の担当政治家の責務
・本年3月13日に、国立大学マネジメント研究会総会の記念講演で、文科副大臣の鈴木寛氏が「鳩山政権における高等教育政策」を1時間余論展されました。
・質疑タイムに「文科省として、あくまでも“教育”の視点、社会倫理の立場から就職活動の時期について、明確な政策を実施すべし」と質しましたが、鈴木氏の回答は、要領を得ないままでありました。
・5月17日の朝日新聞の大学欄“採用を聞く”で鈴木さんは@(政府にできることは)企業側と大学側の間に私たちが入って、徹底的に議論することだと思う。A(かつての就職協定のような制度は)ルールはつくってもなかなか履行されない。強制すると「正直者が馬鹿を見る」構造になり…。「拘束力の強いものに変えた」というのは政策的には格好いいが、自己満足になる。それが本当に学生の学びを充実させるのか、若い人の良いキャリアにつながるか考えなければならない。B(文科省の取組みは)大学の最大の使命は教育で、いい卒業生を送り出すこと。大学の良い取組みを応援したい。
・この鈴木氏の論理の破綻について、高等教育キーパースン各位、そして何よりも直接の当事者である大学生諸君は、いかが判断されますでしょうか。

C.大学生自身の責務
・企業は横において、上記の様な文科省の政策に委ねたままで、よい結果を見通せますか。
・やはり、ここにおいては、大学生の諸君自らが“異議アリ”と、いろいろな実践活動に取組むことが肝要です。
・実践の場面は、一人ひとりの学生が自分で考え、納得することを、多様に展開すべきことでしょう。
・“何を”“いかに”については、大学生諸君からのメッセージをお待ちします。
・さらに、一言つけ加えます。就職先の対象を、もっと、地元の、また全国各地の“中小・零細”企業・団体に拡げてみることをお勧めします。
・また、起業という“就職”しない働き方も追求できるでしょう。その時、大学・短大というセクターも、社会事業体として“働く場”の創設に努めるべきでしょう。
(2010年7月2日)



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