資料(指令と勅令/通達)
(1) GHQ指令「日本教育制度に対する管理政策」/1945年10月22日
昭和二十(一九四五)年十月二十二目
日本教育制度二対スル管理政策
一 日本新内閣二対シ教育二関スル占領ノ目的及政策ヲ充分二理解セシムル聯合国軍最高司令官総司令部ハ茲二左ノ指令ヲ発スル
A 教育内容ハ左ノ政策二基キ批判的二検討、改訂、管理セラルベキコト
(1) 軍国主義的及ビ極端ナル国家主義的イデオロギーノ普及ヲ禁止スルコト、軍事教育ノ学科及ビ教練ハ凡テ廃止スルコト
(2) 議会政治、国際平和、個人ノ権威ノ思想及集会、言論、信教ノ自由ノ如キ基本的人権ノ思想二合致スル諸概念ノ教授及実践ノ確立ヲ奨励スルコト
B アラユル教育機関ノ関係老ハ左ノ方針二基キ取調ベラレ、ソノ結果二従ヒ夫々留任、退職、復職、任命、再教育又ハ転職セラルベキコト
(1) 教師及ビ教育関係官公吏ハ出来得ル限リ迅速二取調ベラルベキコト、アラユル職業軍人乃至軍国主義、極端ナル国家主義ノ積極的ナル鼓吹老及ビ
占領政策二対シテ積極的二反対スル人々ハ罷免セラルベキコト
(2) 自由主義的或ハ反軍的言論乃至行動ノ為解職又ハ休職トナリ或ハ辞職ヲ強要セラレタル教師及ビ教育関係官公吏ハ其ノ資格ヲ直二復活セシメラル
ベキコトヲ公表シ、且ツ彼等ガ適当ナル資格ヲ有スル場合ハ優先的二之ヲ復職セシムルコト
(3) 人種、国籍、信教、政見又ハ杜会的地位ヲ理由トスル学生、教師、教育関係官公吏二対スル差別待遇ヲ禁止スル、而シテ絞上ノ差別待遇ヨリ生ジ
タル不公平ハ直二是正セラルベキコト
(4) 学生、教師、教育関係官公吏ハ教授内容ヲ批判的理智的二評価スルコトヲ奨励セラルベク、マタ政治的、公民的、宗教的自由ヲ含ム各般ノ事項ノ
自由討議ヲ許容セラルベキコト
(5) 学生、教師、教育関係官公吏及ビ一般民衆ハ連合軍占領ノ目的及ビ政策、議会政治ノ理論及実践二就テ知ラシメラルベキコト
マタ軍国主義的指導者、ソノ積極的協力者ノ演ジタル役割並ニソノ消極的黙認ニヨリ日本国民ヲ戦争ニ陥レ、不可避的ナル敗北卜困窮卜現在ノ悲惨ナル状態トヲ結果セシメタル者ノ演ジタル役割ヲ知ラシメラルベキコト
C 教育過程二於ケル技術的内容ハ左ノ政策二基キ批判的二検討、改訂、管理セラルベキコト
(1) 急迫セル現情二鑑ミ一時的二其ノ使用ヲ許サレテヰル現行ノ教課目、教科書、教授指導書ソノ他ノ教材ハ出来得ル限リ速カニ検討セラルベキデアリ、軍国主義的乃至極端ナル国家主義的イデオロギーヲ助長スル目的ヲ以テ作成セラレタル箇所ハ削除セラルベキコト
(2) 教育アル平和的且ツ責任ヲ重ズル公民ノ養成ヲ目指ス新教科目、新教科書、新教師用参考書、新教授用材料ハ出来得ル限リ速カニ準備セラレ現行
ノモノト代ヘラルベキコト
(3) 正常二実施セラレツツアル教育体制ハ出来得ル限リ迅速二再建セラルベキデアルガ未ダ設備等不充分ノ場合ハ初等教育及ビ教員養成ヲ優先セシメルコト
二 日本文部省ハ聯合国軍最高司令官総司令部ノ該当部局ト適当ニ連絡シ得ルヤウナ機関ヲ設ケ且之ヲ維持スルコト、而シテ聯合国軍側ノ要求二応ジ本指令各条項二基イテ為サレタル実施事項ノ詳細ナル説明報告ヲ提出スベキコト
三 日本政府ノ官公吏、属僚ニシテ本指令各条項実施二関与スル者並二公立、私立ヲ問ハズ凡テノ教師及学校教職員ハ本指令二明示シアル政策ノ精神並二条文ヲ遵奉スル個人的責任ヲ負フモノトス
(文部大臣官房文書課編『終戦教育事務処理提要』第一集、昭和二十年十一月、二七〜二九頁)
(2) 同指令「教員及教育関係官の調査、除外、認可に関する件」/同年同月30日
昭和二十(一九四五)年十月三十日
教員及教育関係官の調査、除外、認可に関する件
一 日本ノ教育機構中ヨリ日本民族ノ敗北、戦争犯罪、苦痛、窮乏、現在の悲惨ナル状態ヲ招来セシムルニ至リタル軍国主義的、極端ナル国家主義的諸影響ヲ払拭スル為二、而シテマタ軍事的経験或ハ軍ト密接ナル関係アル教員並二教育関係者ヲ雇傭スルコトニ依テ右思想ノ影響継続ノ可能性ヲ妨止スル為二茲二左記ノ指令ヲ発ス
(イ)軍国主義的思想、過激ナル国家主義的思想ヲ持ツ者トシテ明カニ知ラレテヰル者、聯合国軍日本占領ノ目的及政策二対シテ反対ノ意見ヲ持ツ者トシテ明カニ知ラレテヰル者ニシテ現在日本ノ教育機構中二職ヲ奉ズル者ハ凡テ直二之ヲ解職シ今後日本ノ教育機構ノ中如何ナル職ニモ就カシメザルコト
(ロ)右ノ外ノ者ニシテ日本教育機構中ノ一定ノ職二既二就イテヰル者ハ今後新タナル指令ノアル迄文部大臣ノ裁量ニヨリ現職二留マルコト差支ナシ
(ハ)日本ノ軍二今日猶予アル者或ハ終戦後復員セシ者ニシテ今日日本ノ教育機構中ノ一定ノ職二現二就イテヰナイ者ハ凡テ今後指令アルマデ日本ノ教育機構中ノ如何ナル職ニモ就任セシメザルコト
二 日本ノ教育機構中ノ一定ノ職二現二就イテヰル者或ハ将来就カソトスル者ノ内如何ナル者ガ日本ノ教育機構中ノ如何ナル職ヨリモ解職セラレ阻止セラレマタ禁ゼラルベキカヲ決定スル為二茲二左記ノ指令ヲ発スル
(イ)日本文部省ハ教員並二教育関係官ノアラユル現任者及ビ希望者ヲ有効二調査シ、除外シ或ハ認可スル適切ナル行政機構及措置ヲ設定スルコト
(ロ)日本文部省ハ出来得ル隈リ速カニ本指令条項二準拠シテ実施セラレタル諸措置ノ包括的報告ヲ本司令部二提出スルコト
該報告ハ別二左記特定ノ報告ヲモ含ムベキコト
(ハ)如何ニシテ一個人ガ教員或ハ教育関係官トシテ認容セラルベキカヲ精確二知リ得ル報告、並二一個人ノ留任、解職、任命、再任命ヲ決定スルニ当リテノ原則トナルベキ特定ノ基準表
(ニ)教員及教育関係官ノ調査、除外、認可ヲ行フ為二如何ナル行政的措置並二機構ガ設定セラルルカヲ明カニスル精確ナル報告
猶控訴セラレタル判決ノ再審査及ビ一度不認可トナリタル個人ノ再調査ヲ為ス場合、如何ナル規定二準拠スルカヲ明カニスル精確ナル報告ヲモ併セ提出スルコト
三 本指令ノ条文ノ適用ヲ受ケル日本政府ノアラユル官吏属僚及ビ官公私立ノ教育関係者ハ本指令ニ明ニサレタル方針ヲ完全忠実ニ守る個人的責任ヲ有スル
(文部大臣官房文書課編『終戦教育事務処理提要』第一集、昭和二十年十一月、三七〜三九頁)
(3) 勅令第二六四号「教職員の除去、就職禁止及び復職等の件」/昭和21(46)年5月6日
教職員の除去、就職禁止及復職等に関する勅令
昭和二十一(一九四六)年五月七日
朕枢密顧問ノ諮諭ヲ経テ昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言ノ受諾二伴ヒ発スル命令二関スル件二基ク教職員ノ除去、就職禁止及復職等ノ件ヲ裁可シ茲二之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年五月六日
内閣総理大臣 男爵 幣原喜重郎
内務大臣 三土忠造
文部大臣 安倍能成
農林大臣 副島千八
運輸大臣 村上義一
勅令第二百六十三号
第一条 本令施行ノ際現二教職二在ル者ニシテ昭和二十年十月二十二日附聯合国最高司令官覚書日本教育制度二関スル管理政策二関スル件及同月三十日附同教員及教育関係官ノ調査、除外及認可二関スル件二掲グル職業軍人、著名ナル軍国主義者若ハ極端ナル国家主義者又ハ聯合国軍ノ日本占領ノ目的及政策二対スル著名ナル反対者(以下教職不適格者ト称ス)二該当スル者トシテ主務大臣ノ指定スルモノハ教職ヨリ去ラシメラレ爾後教職二就クコトヲ得ズ
前項ノ規定二該当スル者二付余人ヲ以テ代フルコト困難ナル事情アルトキハ同項ノ規定二拘ラズ主務大臣ノ定ムル所二依リ適任者ヲ得ルニ至ル迄其ノ者ヲ教職二留マラシムルコトヲ得
第一項ノ規定ハ本令施行ノ際現二通常一級官待遇以上ノ者ノ占ムル教職二在ル者二付昭和二十一年勅令第百九号第一条ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ
第二条 本令施行後六月以内二教職二就カソトスル者ニシテ前条第一項ノ規定二準ジ教職不適格老トシテ主務大臣ノ指定スルモノハ爾後教職二就クコトヲ得ズ
第三条 本令施行前教職ヲ退カシメラレタル者ニシテ昭和二十年十月二十二日附聯合国最高司令官覚書日本教育制度二関スル管理政策二関スル件及同月一二十日附同教員及教育関係官ノ調査、除外及認可二関スル件二掲グル自由主義者又ハ反軍国主義者二該当スル者トシテ主務大臣ノ指定スルモノハ之ヲ本令施行後六月以内ヲ限リ優先的二教職二復セシムルモノトス
第四条 本令二於テ教職トハ官立、公立又ハ私立ノ学校ノ教員其ノ他ノ職員、教育関係官公吏ノ教育二関スル法人ノ役員ノ職ニシテ主務大臣ノ指定スルモノヲ謂フ
第五条 各庁ハ主務大臣ノ定ムル所二依リ第一条乃至第三条ノ規定ノ適用二関シ必要ナル調査表ヲ徴スベシ
第六条前条ノ調査表二虚偽ノ記載ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタル記載ヲ為シタル者及同条ノ調査表ヲ徴セラレ之ヲ提出セザル者ハ一年以下ノ懲役者ハ禁錮又ハ三千円以下ノ罰金に処ス
附則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
(『官報』昭和二十一年五月七日)
(4) 「教職員の除去、就職禁止及び復職等の件の施行に関する件」/昭和21(46)年5月6日
昭和二十一(一九四六)年五月七日
教職員の除去、就職禁止及復職等に関する省令
閣令
文部省令 農林省令 運輸省令 第一号
昭和二十一年勅令第二百六十三号(昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言ノ受諾二伴ヒ発スル命令二関スル件二基ク教職員ノ除去、就職禁止及復職等ノ件)ノ施行ニ関スル件次ノヤウニ制定スル。
昭和二十一年五月七日
内閣総理大臣 男爵 幣原喜重郎
文部大臣 安倍 能成
農林大臣 副島 千八
運輸大臣 村上 義一
第一条 昭和二十一年勅令第二百六十三号(昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言ノ受諾二伴ヒ発スル命令二関スル件二基ク教職員ノ除去、就職禁止及復職等ノ件) (以下令と称する)第一条又は第二条の規定に基いて、教職不適格者として指定を受けるべきものの範囲は、別表第一又は別表第二による。但し別表第一による指定は、別に定めるところの、審査委員会の審査判定に従ってこれを行ふ。
令第一条又は第二条の規定による指定は、本人に対する通知でこれを行ふ。
前項の通知は、大学、高等専門学校の教員その他の職員、教育関係の官公吏(視学官の職にある三級の地方事務官と視学の職にある市吏員を除く―以下同様とする)及び教育に関する法人の役員については文部大臣が、国民学校、青年学校及び中等学校等(盲学校、聾唖学校及び各種学校を含める―以下同様とする)の教員と、視学官の職にある三級の地方事務官と、視学の職にある市吏員については、地方長官が行ふ。
令第一条第二項の規定により、教職に留らせることができるのは、別表第二に掲げる者であつて、文部大臣が他に適任者を見出すことが非常に困難であると認めた場合に限る。但しその期間は、本令公布の日より六箇月以内とする。
第二条 令第三条の規定に基いて、教職に復することができるものとして指定を受けるべきものは、自由主義、反軍国主義等思想上又は宗教上の理由によって、昭和十二年七月七日以降退官又は退職を命ぜられ(依願退官又は依願退職者を含める)或は休職を命ぜられた者であって、現に教職に就くに適した者とする。
前条の第二項及び第三項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
第三条 令第四条の、私立の学校の教員その他の職員、又は教育に関する法人の役員の職に在る者が、教職不適格者として指定を受けたときは、文部大臣がこれを解職又は解任する。
第四条 令第四条の、学校の教員その他の職員、教育関係の官公吏及び教育に関する法人の役員の職は、別表第三による。
第五条 令第五条の規定による調査表は、昭和二十一年閣令 内務省令一号別記様式(三)(但し英文の記載はいらない)により、大学、高等専門学校の教員その他の職員、教育関係の官公吏及び教育に関する法人の役員については文部大臣が、国民学校、青年学校及び中等学校等の教員と、視学官の職にある三級の地方事務官と、視学の職にある市吏員については、地方長官が、これを三通徴しその内の一通は、別に定めるところの審査委員会に送付し、地方長官が徴したものの内一通は、文部大臣に、送付しなければならない。
第六条 第一条、第二条及び第五条の規定において、文部大臣とあるのは、無線電信講習所にあつては内閣総理大臣とし、水産講習所にあつては、農林大臣とし、海務學院、高等商船學校、海技専門學院、航海訓練所、商船學校、海員養成所の教員その他の職員及び運輸省の教員関係の官吏にあつては、運輸大臣とする。
附則
この省令は、公布の日から、これを施行する。
別表第一及び第二に掲げる範囲は将来、教職員を採用する場合の、基準とする。
別表第一
教職不適格者として、審査委員会の審査判定に従って、指定を受けるべきものの範囲は、次のやうである。
一、講義、講演、著述、論文等言論その他の行動によって、左の各号の一に当る者
1.侵略主義あるひは好戦的国家主義を鼓吹し、又はその宣伝に積極的に協力した者及び学説を以て大亜細亜政策、東亜新秩序その他これに類似した政策や、満州事変、支那事変又は今次の戦争に、理念的基礎を与へた者。
2.独裁主義又はナチ的あるひはファッスト的全体主義を鼓吹した者。
3.人種的理由によつて、他人を迫害し、又は排斥した者。
4.民族的優越感を鼓吹する目的で、神道思想を宣伝した者。
5.自由主義、反軍国主義等の思想を持つ者、又は何れかの宗教を信ずる者を、その思想又は宗教を理由として迫害し又は排斥した者。
6.右の何れにも当らたいが、軍国主義あるひは極端な国家主義を鼓吹した者、又はその様な傾向に迎合して、教育者としての思想的節操を欠くに至った者。
二、ナチ政権あるひはファシスト政権又はその機関の顧問、嘱託その他これと特別の関係を持ちその政策を行ふことに協力した者。
三、連合国軍の日本占領の目的と政策に反対の意見を公表し、又は右の目的と政策に反対させるために他人を指導した者。
四、官公吏であつて、その職務を行ふにあたり宗教を迫害し、又は弾圧Lた者。
五、軍国主義的又は極端た国家主義的意図をもつて、教科用図書又は教育に関する刊行物の編纂に当つた者。
六、昭和三年一月一日以降において、日本軍によって占領された連合国の領土内で日本軍の庇護の下に、学術上の探検あるひは発掘事業を指揮し又はこれに参加した者。
別表第二
教職員不適格者として、審査委員会にかけないで、指定を受けるべきものの範囲は次のやうである。
一、昭和二十一年一月四日附聯合国最高司令官覚書「公務従事二適セザル者ノ公職ヨリノ除去二関スル件附属書A号」に該当する者その他すべての職業軍人。
二、職業軍人ではないが、十年以上本業として陸軍又は海軍に勤務した者。但し陸軍又は海軍の諸学校に勤務した文官である教官は、この隈りではない。
三、昭和十二年七月七日以降次に掲げる学校を卒業した者。但しその後次に掲げる学校以外の大学高等専門学校又はこれと同等以上の学校を卒業した者は、この限りではない。
1.東京農林専門學校拓殖科
2.盛岡農林專門學校附設第一拓殖訓練所
3.三重農林專門學校附設第二拓殖訓練所
4.宮崎農林専門學校附設第三拓殖訓練所
5.拓殖大學商學部拓殖學科
6.拓殖專門學校開拓科及び司政科
7.福岡市立拓殖専門學校拓殖科及び拓殖土木科
8.興亜專門學校本科及び専修科
9.明治大學專門部興亜科
10.日本大學専門部拓殖科
11.東京農業大學專門部拓殖科
12.前十一号以外の祐殖関係の学校
13.東亜同文書院(学部及附属専門部を含む)
14.満州の建國大學
15.神宮皇學館大學祭祀專攻科
16.神宮皇學館大學附属專門部
17.國學院大學専門部附属神道部
前三号以外の神職養成を目的とする学校
四、昭和十二年七月七日から昭和二十年九月二日迄の間、次に掲げる官職に、通じて二年以上居た者。
1.内務省警保局の勅任官及び奏任官
2.文部省思想局又は教学局関係の事務に従事した勅任官及び奏任官
3.國民精神文化研究所、國民錬成所、教學錬成所、興亜錬成所、興南錬成院及び大東亜錬成院の勅任官及び奏任官
4.情報局の総裁、勅任官及び奏任官
5.特別高等警察の経歴を持つ官吏
6.思想検察又は保護観察、予防拘禁に関係のあつた官吏
五、次の団体の何れかに対し、時期を問はず次のやうな関係のあつた者。
1.創立者、役員又は理事であつた者
2.要職を占めた者
3.すべての刊行物又は機関誌紙の編輯者
4.自発的に多くの寄附(寄附した金額又は財産の価格が絶対的に多いか又は本人の財産に比べて多いもの)をした者
昭和二十一年勅令第百一号第二条及び第四条の規定による団体
原理日本杜
日本學生路倉
朱光會
全国大學教授聯盟
日本法理研究倉
七生杜
別表第三
学校の教員その他の職員、教育関係官公吏及び教育に関する法人の役員の職は次のやうである。
一、官立、公立及び私立の学校(無線電信講習所、水産講習所、海務學院、海技専門學院、航海訓練所及び海員養成所を含める1以下同様とする一の校長及び教員の職。
二、大学、高等専門学校又はこれと同等以上の学校で普通二級官待遇以上の職員の占める職及び私立の大学、高等専門学校の職員であって二級官以上に相当するものの占める職。(事務長等を言ふ)
三、文部省及び教育研修所の官吏、並びに運輸省海運総局におげる教育主管課長、教育主管課関係官であつて普通二級官待遇以上の者の占める職。
四、東京都教育局の局長と各課長及び道府県内務部長(教育民生部が設けられて居る府県では教育民生部長)、都道府県の教育主管課の課長(杜会教育を含める)及びその課で普通二級官待遇以上の者の占める職
並びにその課と東京都の区、地方事務所に勤務する視学官である三級の地方事務官の職。
五、市の教育主管部局課の長と視学である市吏員の職。
六、学校の設立者又は学校を経営する法人、大日本教育会及び大日本育英会の役員の職。
(『官報』昭和二十一年五月七日)
(5) 文部次官通達「教職員の適格審査制度の廃止に際して」/昭和27(52)年4月26日付文人適第七十七号
文部次官通達「教職員の適格審査制度の廃止について」昭和二十七年四月二十六日付文人適七十七号
教職員の適格審査制度は、日本の教育機構中より軍國主義的、極端な國家主義的影響を払拭するために実施されてきたものであります。このたび・一教職員の除去、就職禁止等に関する政令を廃止する法律一が制定されまして・教職員の適格審査制度は、平和条約の日を期して廃止されることになりました。
この制度の廃止の理由は、この制度の目指す目的が殆んど達成されたものと認められた結果に外ならないのであります。しかしながら、教育民主化の徹底を一層期するためには、右の適格審査制度の徹底を今後とも返却すべきではないと考えられます。
今後教員を採用するに当っては、いうまでもなく、従来のような適格審査は、不要であり、その教職員の任用は、全く任命権者の良識に委ねられることになるのでありますが、各任命権者におかれては、教職員の選考にあたり、適格審査制度の趣旨とするところに十分思いをいたし、慎重に措置されることを切に希望する次第であります。
この通達に対する当事者である文部省側の説明育意義づけは、同省人事課適格審査室編【教職員の適格審査に関する記録】(昭和二十七年七月刊)にある。なお、前掲の資料はこの記録から採録した。
同書「第3部教職員の適格審査程度の成果」
3、次官通達の意義
昭和二士年五月七日勅令二六三号によつて適格審査の委員会が設置され、その間現在に至るまで審査制度について多少の変遷はあつたのであるが、昭和廿七年四月廿八日日本國との平和条約の発効にあたり、ここに教職員の適格審査制度は終止することになった。
しかし乍ら占領政策の終止と共に果してその目的とするところの軍國主義的、或は極端な國家主義的諸影響が払拭されたかということは甚だ疑問であったので、國会に於てもその点が鋭く追求され次のような発言があつたことも注意されなければならない。
○教職追放令の全廃と共に追放解除者が再び復活して軍國主義復活の一つの要素になるのではないか。
○再び教育者に当時の戦争指導者が台頭する懸念があるが、これに代る法律を作る考えはないか。
文部省としても・これについて多少の懸念もないのではないが、慎重に審議の結果占領によって果せられたものであり、占領が終了すれば追放令を廃止する事が妥当であるとの結論に達し、追放であつた者及び追放に相等する者が教職に復活する場合には任命権者が自主的に排除するように文部次官は都道府県知事、教育委員会、國公私立大学長宛に昭和二十七年四月二十六日付文人適第七十七号で通知した。
(以上)