平成18年12月13日

法科大学院と新・法学教育シリーズ<1>
〜新司法試験合格発表からみた法科大学院事情〜

ロースクール・新司法試験コンサルタント
津島 修一

 

 第1回新司法試験の合格者が9月21日に発表された。900〜1,100名が予定されていたが、1,009名という数字に落着いた。受験者は2,087名であったので、合格率は48.35%となった。

 既修者1期生(2年コース)の卒業生のみが対象なため、法科大学院各校の真価は、未修者(3年コース)も受験する来年以降にあらわれていく。

 とはいえ、なにごとも最初が肝心である。そこで、司法制度改革の議論から今日まで、各法科大学院の現場と様々にかかわり続けてきた立場から、今回の試験の結果に対しての分析と、これが受験生あるいは関係者、さらに社会に与える印象などを述べさせていただく。


※注 以下の検討は、第一回新司法試験の受験生が存在しなかった法科大学院(2004年開校で3年コースのみ及び2005年開校の法科大学院)は含まれていない。よって、74校の法科大学院のうち、58校が対象となる。



参考資料

 表1「平成18年度新司法試験の法科大学院別合格状況」

 表2「平成18・17年度 旧司法試験の合格状況(上位30校)」



1 新司法試験合格発表! 法科大学院の序列化には早い!


ついに第一回新司法試験合格発表が行われた。前評判どおりに高い合格率を出した法科大学院(以下、LS)、前評判を裏切ってしまったLSと色々である。今回の結果は、各校の実力を反映したものだったのであろうか。この11月9日の旧司法試験の最終合格状況についても言及する。


 LSの真価は、来年以降に問われると冒頭に書いた。それは、今年の卒業生、新司法試験(以下、新試験と呼ぶ)受験生が既修者のみの特殊な事情によるからである。

 既修者は、LSの2年間の授業だけでも大変であり、旧司法試験(以下、旧試験と呼ぶ)の受験経験者、それも短答式合格経験者が多いことをふまえても、この2年の試験対策は楽ではなかったはずだ。

 加えて重要なことは、最初の試験という事情の中で、受験対策、ましてや合格レベルが分からなかったことである。もちろん、合格率は旧試験に比べれば格段に高いものの、過去問は存在せず、したがって対策方法もないことは不安であったと思われる。

 このことは、LS側にとっても同様であったであろう。あるLSでは学生に対して「君達はお金を払ったモルモットだ」との発言があったと聞いた。発言の善し悪しはともかく、言いたい事は良く分かる。

 これらを考え合わせると、第一回目の新試験の合格実績は、LSの実力といい難く、もっぱら学生の入学時の仕上り具合(卒業時に新試験合格レベルに達する程度の基礎学力が入学時にあるかどうかで、法律の知識だけでなく、論述力を含む)によるところが大である。

 やはり、来年卒業する「未修者」を、どの程度新試験に合格させたかがLSの実力であり、その結果に対し、評価が下されるであろう。

 現時点でのLSの序列は暫定的なものであり、旧司法試験の実績とLSとしての評判によるものである。

 11月9日に、旧試験の最終合格発表が行われた。最終合格者は549名であり、事前のアナウンス通りの500〜600名の範囲内におさまった。大学別旧試験合格者の序列は、昨年、一昨年とトップを取った早稲田大が、2位となったものの、上位5校(東京大、早稲田大、慶應大、中央大、京都大)は不動である。6位から20位前後の大学においては、多少順位の変動はあるにしても、旧帝大、一橋大、神戸大、明治大、上智大、関関同立、学習院大という構成には大きな変化はない。また、合格者中、女性が占める割合も20%台前半で従来通りである。

 これは、新試験でも原則的には同様の事がいえるのではないだろうか。早稲田大LSが理念的過ぎるという話があるが、だからといって来年の新試験において全体平均を大きく割るとは考えにくい。また、上位校の中で低い合格率が現実になれば、それに対処できる力を有しているので、すぐに対応する事だろう。

 旧試験において実績を残している大学にあっても、自学で司法試験指導を行い、その成果として合格者を積み重ねてきたのは、慶応大の司法研究室、中央大の法職課程や司法試験サークル、早稲田大の法職課程(05年度末を持って閉鎖)が主要なところだと考える。ゼミ等でノウハウを積重ねてきたところはあるであろうが、そのノウハウを、LSにつなげていくのは困難であろう。批判はあるにしても、旧試験時代においては司法試験予備校の力によるところが大きかったと思われる。ただ、実績のある大学が、厳しい勉強に耐えられる学生をどの程度、かかえているかという点に実績を出せる素地があったことは当然である。

 上位校や評判がいいLSの厳しい入試を潜り抜けてきた「試験に強い集団」こそが、新試験においても強くなるのである。そして、新試験合格を確実にするのが、LSが提供する学習内容・環境ということになる。未修の学生に対して、どのような対応をするのか(入学前を含む。)、既修の学生も含めて、どのようにアウトプット対策を行うのかを十分検討すれば、現在、中堅上位以上とは評価されていないLSであっても、評価があがる事は十分考えられる。法曹になるために入学してくる学生に、十分なケアを期待するものである。



2 中央大学法科大学院合格者トップ! 作戦成功!!


中央大LSが合格者数131名で1位をとった。だが、合格率54.8%は期待値を下回った。2位の東京大LSは120名で70.6%である。受験者層に影響を与えるのは、「数」か「率」かを、他のLSを含めて分析してみた。


 発表翌日の新聞各紙一面、ネット上の新聞双方とも、「新司法試験合格発表 1位 中央大 131名」の見出しが躍った。

 公式の定員「既修者」200名の中央大LSに、新試験受験生が240名もいるのは、歩留りの関係で、入学時に多少定員超過をしてしまったからといえなくもないが、筆者は、許される範囲内で定員超過を行い、それによって新試験受験生を増やし、第1回新試験の実績1位を狙ったのではないかと内心勘ぐっている。

 初回の試験で1位をとり、それが報道されて中央大LSの評価は大いに上がり、この点の目的は達せられたように受け取れるが、合格率は60%を割っているので、LS側としては満足のいくものではなかっただろう。いずれにしてもトップを取った。受験生数だの定員超過だの言うのは特別関心の高い一部の人達だけで、合格者数が一番インパクトを与えるのは間違いない。大学入試において中央大の受験者数が上昇し、中央大の戦略通りということになるのではないか。



3 地方国立大法科大学院は大健闘! 来年以降は?


地方国立大LSは、前評判以上の合格率を出しているところが多いようである。これは、国立大学の地力が発揮されたのか、それとも一時的な現象なのか。大胆に分析を試みた。


 前評判では、上位校(これまでの司法試験で合格者を多数出している大学の通り名である)以外は、惨憺たる結果になるといわれていたが、意外と合格している。特に、いわゆる、旧帝大はともかく、合格者が出ないのではといわれていた地方の国立大学LSでも合格者がある程度出ている。

 ただし、この合格率を来年以降も維持する事は困難ではないだろうか。その理由は、旧試験経験者の里帰り現象ではないかと考えている。つまり、今回受験した既修者は、旧試験経験者が多く、旧試験時代の彼らは東京等の都市部で一人暮らしをし、生活費等をアルバイトで賄いながら、予備校に通うことができた。しかし、LSは正規の授業があるので、生活費をアルバイトで稼ぐことはほとんど不可能であろう。

 この点があって、旧試験経験者の中に、実家のある地方国立大学LSに進学した者が多くいたのではなかろうか。この現象は、来年以降も多少は残るだろうが、新試験合格後の就職等という現実問題が考慮されて、可能な限り「東京の上位校」に進学しなければという傾向が強まるだろう。加えて、奨学金制度の充実もあるので、地方の国立大LSに進む旧試験経験者は減少することが考えられる。そうすると、どの程度合格者が出るのかは、真にLSの実力にかかり、それは全くの未知数である。



4 関関同立の意外な低迷 関西受験生動向からの推考


関関同立の各LS合格率は全体平均を下回り、前評判を裏切った。特に立命館大LSは、26.5%の低率。これが果たして4校の実力なのか。それとも、原因があるのかを、関西圏特有の原因を加えて分析、対策をも考察してみた。


 中央大LSの巧みな戦略以上に驚いたのは、関関同立の低迷である。関東の私立上位校(慶應大LS、中央大LS、早稲田大LS)は、早稲田大LSが「既修」1期が10数名しかいないということで評価の対象から除けば、それなりの結果を出している。これらは、少なくとも全体の平均合格率である48.35%を割ってはいない。

 しかし、関西の私立上位校といわれる関関同立で、この48.35%を超したLSは1校もない。とりわけ立命館大LSの26.47%という数字は、前評判の良かったLSであっただけに驚きを禁じ得ない。

 今回の既修者受験に関しては、LSの面倒見の良さよりも、学生の入学時点での「仕上がり具合」が高く影響していることを、ここでも強く感ずる。関西低迷の原因は、旧試験の、いわば上級者(短答式試験合格経験者や論文レベルの高い者)が関東の私立上位校に多く入学し、関西私立LSにはあまり入らなかったことが、あったのかもしれない。さらに、関西の学生は国公立志向が非常に強く、同志社大LSや立命館大LSに合格しても、大阪市立大LSのほうがランクが上であると認識し、実際にもそちらに入ってしまうようである。したがって、関西地域では、「仕上がりの良い受験生」が京大LS、阪大LS、神戸大LS、大阪市立大LSに入り、その後に関関同立に入学するという傾向が結果に響いたようにも感じられる。

 これに加え、特に立命館大LSについては、既修者の入学試験で法律科目が少ないということも影響したように思える。

 現実問題としてLSは、既修者についてはその「仕上がり」を厳格に審査をしなければ、卒業時の新試験合格率は上がらない。そのためには、6科目(憲・民・刑・商・民訴・刑訴)についての基礎知識を審査する必要があるのではないか。既修コース入学時の学生に、憲・民・刑の基礎知識がないということは考えられないが、商・民訴・刑訴についての基礎知識を既修コース入学後に学ぶのでは、卒業時点での新試験合格は覚束無いだろう。くどくなるが、既修者については、行政法についてはまだしも6科目の基礎知識の修得を終えていなければならない。その分、論述力の審査は憲・民・刑・商で十分だと考える。

 ここで、LSの既修者選抜のための試験について若干意見を述べてみたい。上述のように、既修者については、6科目の基礎知識チェックと論述力のチェックが必要であるが、この入試問題の作成はLSに多くの負担をかけるように思われる。そこで、6科目の基礎知識チェックを、法務研究財団の法学既修者試験を利用して済ませることが考えられる。むしろ法学既修者試験を利用したほうが、受験者数の多いなかで当該学生のランクを見ながらの審査も可能であり、その結果をふまえ、独自に論述力の(あるいは他の方式で)審査を行えば良いのではあるまいか。

 次に、関関同立に限らず、今回の試験で良い数値が出せなかったLSにおいて気にかかるのは、データの中で、新試験の短答式を通過できなかった人が多いことである。この点に関し、新試験の結果で上位にくるLSでは、短答式試験を通過できなかった人は少ない。LSが新試験対策をとる場合、それは論文対策だと思われる。LSの教員が短答式対策を具体的に指示したとは考えにくいし、筆者の印象では「論述の力があれば短答は解ける」との大いなる誤解があり、そこに注意が向けられなかったようにも思える。

 新試験合格率を確実にしていくために、LSが直接短答対策を行うとは思えないが、学生がその対策をとっているかに気を配り、何らかの方法をもって早めにそのチェックをしていく事が必要だと思う。



5 関東の中堅上位法科大学院 それぞれの事情


明治大LSは、合格率の目標6割には到達しなかったものの45%を超過し、合格数では43人で6位の位置にある。しかし、同様に中堅上位校に位置付けられていた上智大LSと学習院大LSは、前評判どおりにはいっていない。その原因を探ってみた。


 関東の中堅上位に位置する明治大LS、上智大LS、学習院大LSも振るわなかった。明治大LSは、少なくとも合格率50%以上を考えているようであるが、45.26%と今一歩及ばなかった。これに対して上智大LSと学習院大LSは30%台で、前評判からすれば、意外である。

 総括すれば、やはり今回の試験は受験生の性質が色濃く出たので、LSの面倒見が結果に繋がり難いということであるが、明治大LSや学習院大LSは様々に新試験への指導をしているように聞くので、来年以降に期待したいところである。

 上智大LSは、「ブランド」大学としてのイメージ、最近の旧試験合格者数、国際性等々で人気があるが、試験対策という点では他の中堅上位校以上のLSに遅れをとっているように感じられる。



6 実践派法科大学院VS理念派法科大学院 軍配はどちらに?


未修をメインにした早稲田大LSが来年、真価を問われ、LS各校の序列が定まっていくであろう。法科大学院の実践派(慶應大LS・中央大LS)と理念派(早稲田大LS・東京大LS)との決着はつくであろうか。


 関東の上位校といわれる東大LS、早稲田大LS、慶応大LS、中央大LSは、前二者が理念派、後二者が実践派といわれる。もちろん、前者は法科大学院制度の理念にのっとったLS運営を旨とし、後者は、LS卒業生を新試験に合格させることを旨としていることを指して呼ばれている。本来は、理念の上に実践があり、両者を対抗関係で捉えることはしたくないのだが、実際のところ、なかなかそうはいかないようだ。

 LS入試は回を重ねてきており、ある程度の見通しが利くようになってきたが、新試験は来年からが本番であり、まだまだ、合格レベルや評価基準が見え難い。

 試験に強い受験生にとって、旧試験のように、合格への道のりが困難な中でも「なにをどれだけ、どのように勉強すれば良いか」がある程度判明していれば、自力で合格する。しかし、新試験においては、「なにをどれだけ、どのように勉強すれば良いか」が見えてこない間は、合理的な受験対策はとれない。この前提に立つと、理念派と実践派との戦いは、少なくても試験の合格に関しては、実践派が勝つと考えざるを得ない。とはいえ、双方ともに試験に強い人達が集まっており、中堅以下のLSとの合格率比較にはならないであろうが。



7 新司法試験対策と就職対策


新司法試験対策を行うLSは、多少なりとも増えてきている。しかし、それで上位校・中堅校といわれるLSとの格差は埋められるだろうか。少し早いがいずれ注目される、LSの就職対策について考えてみたい。


 新試験合格発表後、試験対策に配慮したカリキュラムへと変更を行うLSが出ている。開校当初より、カリキュラム変更を考えていたのだろうが、この間の試行錯誤の結果が反映されたのであろう。しかし、新試験対策の形だけを整えても、すぐに効果は上がらない。

 ところで、実際のところ受験生が合格するプロセスにおいて、試験に強い人達が身近にいてくれて、そこから受験ノウハウを得られることは非常に有益である。この点について、旧試験で実績のある大学のLSは、TA(ティーチングアシスタント)となる旧試験合格者を多数かかえているために、教員以外によるフォローアップ態勢を作るのは比較的容易であるが、そうではないLSが多いであろう。

 このようなことを考えると、LSが新試験対策を実施するにあたり、人材やノウハウが揃う所とそうでないでない所との差は大きく、対策を始めたからといって、すぐに合格率等の実績の格差が埋まるものではないと思われる。とはいえ、少しずつであっても格差を埋めていかなければ、今後始まる予備試験の後は、生き残りが難しくなることも考えられる。

 さて、新試験後に、一部のLSから新試験に合格できなかったLS卒業生の就職口確保についての発言があった。この発言自体、LSの役割放棄であって無責任極まりなく、大いに非難されるべきだが、ここでの本題ではないので立ち入ることはしない。しかし現実問題として考えなければならないのは、「合格者」の就職対策であろう。

 そもそも、LSはわが国の司法過疎対策の切り札として設置された側面を持つものであり、制度がようやく軌道にのりかけたこの時期に就職対策などとは、一見矛盾した議論である。しかし、新聞等の報道では「弁護士が就職難」とあるが、これは大都市に限った現象で、地方の司法過疎は一向に解消しないのである。弁護士の職業倫理として、「大都市志向」は脱却されるべきであり、LS現場における「地方、過疎志向」への教育力が肝要といえよう。

 また、産業界が国際法務対策上、企業法務部門における弁護士増大について旗をふったのであり、その雇用責任は大いに問われるべきである。

 いずれにしても、LSは、自らの社会的責任を忘れて「不合格者の就職口…」などと的外れを言うのではなく、同じ近視眼でもまずは合格者の就職口をどうすべきかを考えるべきであろう。これについて、旧試験において合格実績のある大学のLSは、OB弁護士の事務所等受入先が多いであろうが、それがないところはどうすべきか。これ制度の全体に関わる問題であり、LSは自分のところだけではなく、全体のこととして真剣に考えて欲しいところである。



8 女性対男性の第1ラウンド結果


LS設置の理念において、3割が他学部・社会人であることが求められたが、実のところこの目標は、旧試験において既に実現されていた。真に推進すべきは、女性の合格者の増加である。新旧試験における女性受験生の動向と、女性の法曹進出、そして、今まで語られることのなかった「法曹養成と女子大の使命」を考察してみたい。


 今年の旧試験は、現時点では論文合格発表の段階であるが、津田塾大から2名の合格者が出ている。今年度の合格者が昨年の約三分の一となったことをふまえると、この数字は注目に値する。ちなみに、昨年までは、他に御茶ノ水女子大、東京女子大等の女子大からも合格者が出ていた。

 一般に合格率2%台(今年は、2%を割るであろう)の試験において、毎年合格者を出す学校は、そこに受験生が100名以上いると考えるのが自然である。現に、筆者が受講相談をしていても女子大の方は珍しくない。学内に司法試験やLSの情報がないこともあり、問題意識の高い問合せを受ける。とりわけ、一度就職活動をしたが、男女平等は画餅であることを知って、司法試験を受けよう、LSに進学しようと考える女性は相当数に上る。惜しむらくは、その時点で他の受験生に遅れをとっているのだ。

 2003年に、国にLSの申請があった時、女子大等からの設置申請がないことには落胆した。学生やOGの動向や気持ちを汲んであげる学校はないのか、独自ではなくても、他のLSと提携するなど、形はどうあれ積極的に関わっていくべきではなかったのかと、今でも考えている。

 LSは過剰だという意見もある。しかし、女性の社会進出を念頭に置けば、女子法科大学院がないことのほうが奇妙であり、設置が待たれるところである。



9 昼夜開講、夜間LSの現状と今後


関東圏には昼夜開講、夜間のLSが5校あるが、他地域では、名古屋、大阪、そして北海道に1校あるのみであり、卒業生が出ていないLSも多い。昼間部の学生ですら、授業の予習、復習、新試験対策に時間が足らないという状況の中で、社会人に対し各校がどのような指導が行われているのかを調べ、考察してみたい。


 夜間のLSにおいて求められるのは、無駄のないカリキュラムである。もちろん、LSのカリキュラムは新試験対策向けに構成されているものではないので、試験対策に焦点を絞ってカリキュラムを作ることはできない。しかし、夜間のLSの学生はもともと可処分時間が少ない。ここでは(他ではあっても良いというわけではないが)、正規の授業にもかかわらず、意識の低い教員が、自身の研究テーマを1年間話し続けるというような授業を行い、カリキュラム外で本来やるべき内容を補講するといったような一部で行われているよう事は、絶対にあってはならない。カリキュラム外の時間にLSでの補講を受ける時間があるくらいなら、学生は昼間部を受験しているのではないか。

 夜間開校のLSが、社会人向けのLSとして成功すれば、昼間部のLSでの充実した指導にも良い影響を与える。現段階では、成蹊大LSの評判が上がりつつあるが、他の社会人用LSの取組にも期待したい。

以上

私論公論トップページへ戻る