高等教育情報センター その趣意

地域科学研究会 高等教育情報センター代表
青野 友太郎

 

 今、われわれは、眼前にしかつ自ら織り成すところの、この地球環境と社会諸関係を、次世代にいかなる歴史的所産として伝えゆだねようとしているのか。人類に課せられたこの挑戦に応えるために、細分化された専門諸科学を、具体的な問題意識の下に総合化し、課題解決型科学としての真に知的なアプローチがなされなければならない。そして、この方法論は実践的な場で展開され、常に琢磨されてこそ知的領域と現実社会に相渉る参画的な緊張関係を保持しうるといえよう。

 21世紀を迎え、日本人としてかつ地球市民として、自らを変革しうるためには、我が国の高等教育組織が果たすべき使命と役割は大きい。人間教育・市民教育・職業教育の場としての初等・中等教育機関と異なり、高等教育の場は、初原的に世界自由人による“知的コミュニティ”として、知の伝承と創造を本務としてきた。学生と教員と職員、そして市民がともに参画する場としての“大学ニューキャンパス”の再構築は急務といえよう。

 我が国の高等教育は、その“計画”と“経営”をめぐって、政策及び運営の両サイドから、大きな試練の時代を迎えている。しかしながら、全国各地において、国・公・私立の枠をこえ、ささやかながら確かなる改革の上に、大学院・大学・短期大学・高等専門学校及び専門学校の“ニュースクール化”への挑戦が胎動し始めている。そして、それらの潮流を支えるエネルギーとして、分権化の中での自立を計る、地方自治体の生涯学習・高等教育・学術研究・芸術文化・創業人財政策の新展開がある。

 本センターは、知的営みの最前線で精励する、大学を含めた各領域におけるキーパースンをネットワークし、我が国の高等教育行政と個別大学経営の新たなる地平を切り拓き、地球社会の一員としての責務を担い得る“知的コミュニティ”を日々、リフレッシュして創築することを目的に創設されるものである。そして、今日的諸課題に対し、現実の場で知的・実践的なる試行をなす人たちの交流と連帯の場として、その機能を追求するものである。

(ゼネラル・マネージャー/主任研究員)

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