――○○の将来を見据えれば統合・再編も有力な手段であるが、規模の拡大自体は目的ではなく、自○としてやりたいことを実現するという文脈の中において、必要であれば統合・再編も視野に入れるというのがあるべき姿と論じる。筆者も同感である。
上記は、昨4月12日の日経紙の書評欄での「地方創生担う地域金融」の家森信善氏(神戸大教授)の『ザ・地銀―構造不況に打ち克つ長期ビジョン経営』(高橋昌裕著/金融財政事情研究会/2014年)への言及です。つまり、「○○」は「地銀」、「自○」は「自行」が実際の標記です。
これは、まさに地方圏及び大都市圏の中小・単科大学の経営戦略と同定されます。家森氏の書評は「地域にとって不可欠の存在でなければ、地域銀行の明日はない」が結語であります。
“構造不況業種”となった大学・短期大学は、今後15年間で150校〜200校が廃校となるとの予測もあります。貴大学・短期大学におかれては、既に確たる中長期ビジョンを構築されていることと拝します……が。
“ハード”ではなく、“ソフトランディング”へのシナリオこそ、大学経営陣たる理事・役員会の責務と言えましょう。創設・創立同人の使命は終えたと決断し、「学生募集停止」から「廃校」は一つのシナリオではあります。
しかしながら、“ネットワーク型大学経営”という、もう一つのシナリオがあります。つまり“合従連衡”です。
文科省も、2015年度予算で、「私立大学等経営強化集中支援事業」(4,500百万円)を新規の特別補助で計上し、大学統合や学部再編支援の施策をスタートしています。
前提として、次の事項を挙げたいと思います。
1.新・高等教育のカタチは、“生涯学習”社会において、“ユニバーサルな”大学と高校を繋ぐ
とともに、“グローカル”な人財養成を実現すること
2.日本の元気を実現する“道州制”のさきがけとして、9ブロック高等教育圏計画が必須で
あること
3.つまり、自ブロック圏内とともに他の8ブロック圏の大学・短大そして高校との連携・協働
を拓くこと
4.私・公・国の設置母体を超えての連携・協働を追求すること
5.国立大学の学部定員は半減し、留学生の受け入れと大学院にシフトすること。大規模
私立大学は学部定員を縮減するとともに、グローバル人材養成にシフトすること
特に、私立大学・短大が主体となる、公立大学・短大との合併も、大いに意義あることと思案します。近年、公私協力方式で設置した私立大学の公立大学化が進展しております。しかしながら、小会は、逆トレンドであるべきと考えます。公立化の中で、授業料が半減し、他地域からの入学者が激増するというパターンは決して地域立とは言えません。
地域創生を担う“COC”への新たな創意工夫が肝要となっております。新しいコミュニティカレッジへの再構築であります。