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2022.1.17

新学校法人法制の提案


2021年12月24日
私学人・大学人の有志
高等教育計画経営研究所



 私学高等教育法人(仮称) <試案>


 目次
 第一章 総則(第一条―第条)
 第章 私学高等教育法人
  第一節 通則(第条―第十二条)
  第二節 設立(第十三条―第二十条)
  第三節 管理
   第一款 役員及び理事会(第二十一条―第三十八条)
   第二款 評議員及び評議員会(第三十九条―第四十二条)
   第三款 役員の損害賠償責任等(第四十三条―第四十九条)
   第四款 補償契約及び役員等の保険契約(第五十条―第五十一条)
   第款 寄附行為変更の認可等(第五十二条)
   第款 予算及び事業計画並びに事業に関する中期的な計画等(第五十三条―第五十七条)
 第章 雑則(第八十七条―第八十九条)
 第章 罰則(第九十条―第九十二条)
 附則 (略)



    第一章 総則



  (目的
 第一条 この法律は、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによつて、我が国の高等教育及び学術研究の向上を図るため、私立大学及び私立高等専門学校を設置する私学高等教育法人の組織及び運営について定めることを目的とする。

  (定義)
 第二条 この法律において「私学高等教育法人」とは、私立大学及び私立高等専門学校の設置を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。

  (所轄庁)
 第条 この法律「所轄庁」とあるのは、第一号、第号に掲げるものにあつては文部科学大臣とする。
  一 私立大学及び私立高等専門学校
   第一号に掲げる私立学校を設置する私学高等教育法人

  (審議会等への諮問)
 第条 文部科学大臣は、私立大学又は私立高等専門学校について、学校教育法第四条第一項又は第十三条第一項に規定する事項(同法第九十五条の規定により諮問すべきこととされている事項を除く。)を行う場合においては、あらかじめ、同法第九十五条に規定する審議会等の意見を聴かなければならない。

  (報告書の提出)
 第条 所轄庁は、私立学校に対して、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができる。



    第章 私学高等教育法人

     第一節 通則



  (法人の責務)
 第条 私学高等教育法人は、自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その設置する私立大学及び私立高等専門学校の教育の質の向上及びその運営の透明性の確保を図るよう努めなければならない。

  (資産)
 第条 私学高等教育法人は、その設置する私立大学及び私立高等専門学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資金並びにその経営に必要な財産を有しなければならない。
 2 前項に規定する私立大学及び私立高等専門学校に必要な施設及び設備についての基準は、別に法律で定めるところによる。

  (収益事業)
 第条 私学高等教育法人は、その設置する私立大学及び私立高等専門学校の教育に支障のない限り、その収益を私立大学及び私立高等専門学校の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができる。
 2 前項の事業の種類は、学校教育法第九十五条に規定する審議会等の意見を聴いて、所轄庁が定める。所轄庁は、その事業の種類を公告しなければならない。
 3 第一項の事業に関する会計は、当該私学高等教育法人の設置する私立大学及び私立高等専門学校の経営に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。

  (特別の利益供与の禁止)
 第九条 私学高等教育法人は、その事業を行うに当たり、その理事、監事、評議員、職員(当該私学高等教育法人の設置する私立大学及び私立高等専門学校の校長、教員その他の職員を含む。以下同じ。)その他の政令で定める私学高等教育法人の関係者に対し特別の利益を与えてはならない。

  (住所)
 第条 私学高等教育法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

  (登記)
 第十一条 私学高等教育法人は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。
 2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

  (代表者の行為についての損害賠償責任)
 第十二条 私学高等教育法人は、理事長その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。




     第二節 設立



  (申請)
 第十三条 私学高等教育法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする寄附行為をもつて少なくとも次に掲げる事項を定め、文部科学省令で定める手続に従い、当該寄附行為について所轄庁の認可を申請しなければならない。
  一 目的
  二 名称
  三 その設置する私立大学及び私立高等専門学校の名称及び学部・学科、大学院・研究科、学科・コース等の名称又は種類
  四 事務所の所在地
  五 役員の定数、任期、選任及び解任の方法その他役員に関する規定
  六 理事会に関する規定
  七 評議員会及び評議員に関する規定
  八 資産及び会計に関する規定
  九 収益を目的とする事業を行う場合には、その事業の種類その他その事業に関する規定
  十 解散に関する規定
  十一 寄附行為の変更に関する規定
  十二 公告の方法
 2 私学高等教育法人の設立当初の役員は、寄附行為をもつて定めなければならない。
 3 第一項第十号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、私学高等教育法人その他教育の事業を行う者のうちから選定されるようにしなければならない。

  (認可)
 第十四条 所轄庁は、前条第一項の規定による申請があつた場合には、当該申請に係る私学高等教育法人の資産が第二十五条の要件に該当しているかどうか、その寄附行為の内容が法令の規定に違反していないかどうか等を審査した上で、当該寄附行為の認可を決定しなければならない。
 2 所轄庁は、前項の規定により寄附行為の認可をする場合には、あらかじめ、審議会等の意見を聴かなければならない。

  (寄附行為の補充)
 第十五条 私学高等教育法人を設立しようとする者が、その目的及び資産に関する事項を除くほか、第三十条第一項各号に掲げる事項を定めないで死亡した場合には、所轄庁は、利害関係人の請求により、これらの事項を定めなければならない。
 2 前条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

  (設立の時期)
 第十六条 私学高等教育法人は、その主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより設立の登記をすることによつて成立する。

  (寄附行為公表
 第十七条 私学高等教育法人は、寄附行為及び主要な規程類について、ウェブ上において公表することとする。

  (財産目録の作成及び備置き)
 第十八条 学校法人は、設立の時に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備えて置かなければならない。

  (贈与又は遺贈に関する規定の準用)
 第十九条 生前の処分で寄附行為をするときは、その性質に反しない限り、民法の贈与に関する規定を準用する。
 2 遺言で寄附行為をするときは、その性質に反しない限り、民法の遺贈に関する規定を準用する。

  (財産の帰属時期)
 第二十条 生前の処分で寄附行為をしたときは、寄附財産は、私学高等教育法人の成立の時から当該法人に帰属する。
 2 遺言で寄附行為をしたときは、寄附財産は、遺言が効力を生じた時から私学高等教育法人に帰属したものとみなす。




    第三節 管理

     第一款 役員及び理事会



  (役員)
 第二十一条 私学高等教育法人には、役員として、理事五人以上及び監事二人以上を置かなければならない。
 2 理事のうち一人は、寄附行為の定めるところにより、理事長となる。

  (私学高等教育法人と役員との関係)
 第二十二条 私学高等教育法人と役員との関係は、委任に関する規定に従う。

  (理事会)
 第二十三条 私学高等教育法人に理事をもつて組織する理事会を置く。
 2 理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する。
 3 理事会は、理事長が招集する。理事(理事長を除く。)又は評議員会が、寄附行為の定めるところにより、理事会の招集を請求したときは、理事長は、理事会を招集しなければならない。
 4 理事会に議長を置き、理事長をもつて充てる。
 5 理事会は、理事の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない。
 6 理事会の議事は、寄附行為に別段の定めがある場合を除いて、出席した理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
 7 理事会の議事について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
 8 理事会の議決内容が、評議員会の議決内容と異なった場合、最終的には理事会の決定が優先されるものとする。

  (役員の職務等)
 第二十四条 理事長は、私学高等教育法人を代表し、その業務を総理する。
 2 理事(理事長を除く。)は、寄附行為の定めるところにより、私学高等教育法人を代表し、理事長を補佐して私学高等教育法人の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときはその職務を行う。
 3 監事の職務は、次のとおりとする。
  一 私学高等教育法人の業務を監査すること。
  二 私学高等教育法人の財産の状況を監査すること。
  三 理事の業務執行の状況を監査すること。
  四 私学高等教育法人の業務若しくは財産の状況又は理事の業務執行の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後二月以内に理事会及び評議員会に提出すること。
  五 第一号から第三号までの規定による監査の結果、私学高等教育法人の業務若しくは財産又は理事の業務執行に関し不正の行為又は法令若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを理事会及び評議員会に報告し、又は所轄庁に報告すること。
  六 前号の報告をするために必要があるときは、理事長に対して理事会及び評議員会の招集を請求すること。
  七 私学高等教育法人の業務若しくは財産の状況又は理事の業務執行の状況について、理事会に出席して意見を述べること。
 4 前項第六号の請求があつた日から五日以内に、その請求があつた日から二週間以内の日を理事会又は評議員会の日とする理事会又は評議員会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした監事は、理事会又は評議員会を招集することができる。

  (役員の選任)
 第二十五条 理事となる者は、次の各号に掲げる者とする。
  一 当該私学高等教育法人の設置する私立大学の学長、私立高等専門学校の校長
  二 当該私学高等教育法人の評議員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
  三 当該私学高等教育法人の設置する私立大学、私立高等専門学校の教員・職員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
  四 当該私学高等教育法人以外の外部の有識者のうちから
、寄附行為の定めるところにより選任された者
 2 私学高等教育法人が私立大学および私立高等専門学校を二以上設置する場合には、前項第一号の規定にかかわらず、寄附行為の定めるところにより、学長又は校長のうち、一人又は数人を理事とすることができる。
 3 第一項第一号に規定する理事は、学長又は校長の職を退いたときは、理事の職を失うものとする。
 4 第一項第二号に規定する理事は、選任にあたり、評議員を退任するものとする。
  監事は、評議員会の同意を得て、理事長が選任する。
  監事は、選任の際現に当該私学高等教育法人の役員又は教員・職員でない者が含まれるようにしなければならない。
  役員が再任される場合において、当該役員がその最初の選任の際現に当該私学高等教育法人の役員又は教員・職員でなかつたときの前項の規定の適用については、その再任の際現に当該学校法人の役員又は教員・職員でない者とみなす。
  役員のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族が一人を超えて含まれることになつてはならない。
  次に掲げる者は、役員となることができない。
  一 学校教育法第九条各号のいずれかに該当する者。
  二 心身の故障のため役員の職務の適正な執行ができない者として文部科学省令で定めるもの。

  (役員の兼職禁止)
 第二十六条 理事は評議員と兼ねることはできない。
  監事は、理事、評議員又は学校法人の教員・職員と兼ねてはならない。

  (役員の補充)
 第二十七条 理事又は監事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内に補充しなければならない。

  (忠実義務)
 第二十八条 理事は、法令及び寄附行為を遵守し、私学高等教育法人のため忠実にその職務を行わなければならない。

  (理事の代理行為の委任)
 第二十九条 理事は、寄附行為によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

  (仮理事)
 第三十条 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、仮理事を選任しなければならない。

  (理事の職務を代行する者の権限)
 第三十一条 民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条に規定する仮処分命令により選任された理事又は理事長の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、私学高等教育法人の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
 2 前項の規定に違反して行った理事又は理事長の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、私学高等教育法人は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

  (表見代表理事)
 第三十二条 私学高等教育法人は、理事長以外の理事に理事長その他私学高等教育法人を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該理事がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。

  (競業及び利益相反取引の制限)
 第三十三条 理事は、次に掲げる場合には、理事会及び評議員会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
  一 理事が自己又は第三者のために私学高等教育法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
  二 理事が自己又は第三者のために私学高等教育法人と取引をしようとするとき。
  三 私学高等教育法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において私学高等教育法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。
 2 民法(明治二十九年法律第八十九号)第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号の取引については、適用しない。

  (理事の報告義務)
 第三十四条 理事は、私学高等教育法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を評議員会及び監事に報告しなければならない。

  (競業及び私学高等教育法人との取引等の制限)
 第三十五条 私学高等教育法人においては、第三十三条第一項各号の取引をした理事は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を理事会及び評議員会に報告しなければならない。

  (監事による理事の行為の差止め)
 第三十六条 監事は、理事が私学高等教育法人の目的の範囲外の行為その他法令若しくは寄附行為に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該私学高等教育法人に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該理事に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
 2 前項の場合において、裁判所が仮処分をもって同項の理事に対し、その行為をやめることを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。

  (費用等の請求)
 第三十七条 監事がその職務の執行について私学高等教育法人に対して次に掲げる請求をしたときは、当該私学高等教育法人は、当該請求に係る費用又は債務が当該監事の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。
  一 費用の前払の請求
  二 支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求
  三 負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求

  (理事・理事長の解任)
 第三十八条 理事又は理事長が、その職務において、法令若しくは寄附行為に違反する行為をした場合は理事会は評議員会の同意を得て、解任をするものとする。
 2 理事会が対応しない時は、評議員会において、理事・理事長の解任を議決できるものとする。




     第二款 評議員及び評議員会



  (評議員会)
 第三十九条 私学高等教育法人に、評議員会を置く。
  評議員は、理事長からの諮問に応えるとともに、理事会を監督する役割を有する。
  評議員会は、理事の定数の二倍をこえる数の評議員をもつて、組織する。
  評議員会は、理事長が招集する。
  評議員会に、議長を置く。
  理事長は、評議員総数の三分の一以上の評議員から会議に付議すべき事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。
  評議員会は、評議員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決をすることができない。
  評議員会の議事は、出席評議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
  前項の場合において、議長は、評議員として議決に加わることができない。
 10 第七項の規定にかかわらず、第四十四条の五において読み替えて準用する一般社団・財団法人法第百十三条第一項の評議員会の決議は、その議事の議決に加わることができる評議員の三分の二以上に当たる多数をもつて決する。
 11 第七項及び前項の議事について特別の利害関係を有する評議員は、議決に加わることができない。

  (評議員の議決事項)
 第四十条 次に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ、評議員会の議決を要するものとする。
  一 第五十三条第一項の予算及び事業計画
  二 第五十三条第二項の事業に関する中期的な計画
  三 借入金(当該会計年度内の収入をもつて償還する一時の借入金を除く。)及び重要な資産の処分に関する事項
  四 役員に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)の支給の基準
  五 寄附行為の変更
  六 合併
  七 解散
  八 収益を目的とする事業に関する重要事項
  九 その他私学高等教育法人の業務に関する重要事項で寄附行為をもつて定めるもの

  (評議員会と役員との関係)
 第四十一条 評議員会は、私学高等教育法人の業務若しくは財産の状況又は役員の業務執行の状況について、役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は役員から報告を徴することができる。

  (評議員の選任)
 第四十二条 評議員となる者は、次の各号に掲げる者とする。
  一 当該私学高等教育法人の教員・職員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
  二 当該私学高等教育法人の設置する私立学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
  三 前各号に規定する者のほか、寄附行為の定めるところにより選任された者
 2 前項第一号に規定する評議員は、教員・職員の地位を退いたときは、評議員の職を失うものとする。
 3 前項各号に規定する評議員のうち、当該私学高等教育法人以外の外部の有識者等の者が過半数以上を占めるものとする。
 4 当該私学高等教育法人が設置する私立大学及び私立高等専門学校の学生・院生及び保護者を評議員とすることに努めることとする。




     第三款 役員の損害賠償責任等



  (役員の私学高等教育法人に対する損害賠償責任)
 第四十三条 役員は、その任務を怠つたときは、私学高等教育法人に対し、これによつて生じた損害を賠償する責任を負う。
 2 理事が第四十条の第一項の規定に違反して同項第号の取引をしたときは、当該取引によつて理事又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
 3 第四十条の第一項第二号又は第三号の取引によつて私学高等教育法人に損害が生じたときは、次に掲げる理事は、その任務を怠つたものと推定する。
  一 第四十条の第一項の理事
  二 私学高等教育法人が当該取引をすることを決定した理事
  三 当該取引に関する理事会の承認の決議に賛成した理事

  (私学高等教育法人に対する損害賠償責任の免除)
 第四十四条 私立学校法第四十四条の二第一項の責任は、評議員会の同意がなければ、免除することができない。
 2 前項の規定にかかわらず、役員の私立学校法第四十四条の二第一項の責任は、当該役員が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額(第百十五条第一項において「最低責任限度額」という。)を控除して得た額を限度として、評議員会の決議によって免除することができる。
  一 賠償の責任を負う額
  二 当該役員がその在職中に私学高等教育法人から職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の一年間当たりの額に相当する額として文部科学省令で定める方法により算定される額に、次のイからハまでに掲げる役員の区分に応じ、当該イからハまでに定める数を乗じて得た額
   イ 理事長 六
   ロ 理事長以外の理事であって、次に掲げるもの 四
    (イ) 寄附行為の定めるところにより理事長を補佐して私学高等教育法人の業務を掌理する理事として選定されたもの
    (ロ) 当該私学高等教育法人の業務を執行した理事((イ)に掲げる理事を除く。)
    (ハ) 当該私学高等教育法人の職員
   ハ 理事(イ及びロに掲げるものを除く。)、監事 二
 3 前項の場合には、理事は、同項の評議員会において次に掲げる事項を開示しなければならない。
  一 責任の原因となった事実及び賠償の責任を負う額
  二 前項の規定により免除することができる額の限度及びその算定の根拠
  三 責任を免除すべき理由及び免除額
 4 私学高等教育法人においては、理事は、私立学校法第四十四条の二第一項の責任の免除(理事の責任の免除に限る。)に関する議案を評議員会に提出するには、監事(監事が二人以上いる場合にあっては、各監事)の同意を得なければならない。
 5 第一項の決議があった場合において、私学高等教育法人が当該決議後に同項の役員に対し退職慰労金その他の文部科学省令で定める財産上の利益を与えるときは、評議員会の承認を受けなければならない。

  (理事等による免除に関する寄附行為の定め)
 第四十五条 第百十二条の規定にかかわらず、私学高等教育法人は、私立学校法第四十四条の二第一項の責任について、役員が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該役員の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、前条第一項の規定により免除することができる額を限度として理事会の決議によって免除することができる旨を寄附行為で定めることができる。
 2 前条第三項の規定は、寄附行為を変更して前項の規定による寄附行為の定め(理事の責任を免除することができる旨の定めに限る。)を設ける議案を評議員会に提出する場合及び同項の規定による寄附行為の定めに基づく責任の免除(理事の責任の免除に限る。)に関する議案を理事会に提出する場合について準用する。
 3 第一項の規定による寄附行為の定めに基づいて役員の責任を免除する旨の理事会の決議を行ったときは、理事は、遅滞なく前条第二項各号に掲げる事項及び責任を免除することに異議がある場合には一定の期間内に当該異議を述べるべき旨を評議員に通知しなければならない。ただし、当該期間は、一月を下ることができない。
 4 総評議員(前項の責任を負う役員であるものを除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を寄附行為で定めた場合にあっては、その割合)以上の評議員が同項の期間内に同項の異議を述べたときは、私学高等教育法人は、第一項の規定による寄附行為の定めに基づく免除をしてはならない。
 5 前条第四項の規定は、第一項の規定による寄附行為の定めに基づき責任を免除した場合について準用する。

  (責任限定契約)
 第四十六条 第百十二条の規定にかかわらず、私学高等教育法人は、理事(業務執行理事(理事長、理事長以外の理事であって寄附行為の定めるところにより理事長を補佐して私学高等教育法人の業務を掌理する理事として選定されたもの及び当該私学高等教育法人の業務を執行したその他の理事をいう。次項及び第百四十一条第三項において同じ。)又は当該私学高等教育法人の職員でないものに限る。)又は監事(以下この条及び第三百一条第二項第十二号において「非業務執行理事等」という。)の私立学校法第四十四条の二第一項の責任について、当該非業務執行理事等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、寄附行為で定めた額の範囲内であらかじめ私学高等教育法人が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を非業務執行理事等と締結することができる旨を寄附行為で定めることができる。
 2 前項の契約を締結した非業務執行理事等が当該私学高等教育法人の業務執行理事又は職員に就任したときは、当該契約は、将来に向かってその効力を失う。
 3 第百十三条第三項の規定は、寄附行為を変更して第一項の規定による寄附行為の定め(同項に規定する理事と契約を締結することができる旨の定めに限る。)を設ける議案を評議員会に提出する場合について準用する。
 4 第一項の契約を締結した私学高等教育法人が、当該契約の相手方である非業務執行理事等が任務を怠ったことにより損害を受けたと知ったときは、その後最初に招集される評議員会において次に掲げる事項を開示しなければならない。
  一 第百十三条第二項第一号及び第二号に掲げる事項
  二 当該契約の内容及び当該契約を締結した理由
  三 私立学校法第四十四条の二第一項の損害のうち、当該非業務執行理事等が賠償する責任を負わないとされた額
 5 第百十三条第四項の規定は、非業務執行理事等が第一項の契約によって同項に規定する限度を超える部分について損害を賠償する責任を負わないとされた場合について準用する。

  (理事が自己のためにした取引に関する特則)
 第四十七条 私立学校法第四十条の五において準用する第八十四条第一項第二号の取引(自己のためにした取引に限る。)をした理事の私立学校法第四十四条の二第一項の責任は、任務を怠ったことが当該理事の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない。
 2 前三条の規定は、前項の責任については、適用しない。


  (役員の第三者に対する損害賠償責任)
 第四十八条 役員がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があつたときは、当該役員は、これによつて第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
 2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかつたことを証明したときは、この限りでない。
  一 理事 次に掲げる行為
   イ 第四十七条第一項の財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書に記載すべき重要な事項についての虚偽の記載
   口 虚偽の登記
   ハ 虚偽の公告
   二 監事 第三十七条第三項第四号の監査報告書に記載すべき重要な事項についての虚偽の記載

 (役員の連帯責任)
 第四十九条 役員が学校法人又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。



     第四款  補償契約及び役員の保険契約



  (補償契約)
 第五十条 私学高等教育法人が、役員に対して次に掲げる費用等の全部又は一部を当該私学高等教育法人が補償することを約する契約(以下この条において「補償契約」という。)の内容の決定をするには、理事会の決議によらなければならない。
  一 当該役員が、その職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、又は責任の追及に係る請求を受けたことに対処するために支出する費用
   二 当該役員が、その職務の執行に関し、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合における次に掲げる損失
   イ 当該損害を当該役員が賠償することにより生ずる損失
   ロ 当該損害の賠償に関する紛争について当事者間に和解が成立したときは、当該役員が当該和解に基づく金銭を支払うことにより生ずる損失
 2 私学高等教育法人は、補償契約を締結している場合であっても、当該補償契約に基づき、次に掲げる費用等を補償することができない。
  一 前項第一号に掲げる費用のうち通常要する費用の額を超える部分
  二 当該私学高等教育法人が前項第二号の損害を賠償するとすれば当該役員が当該私学高等教育法人に対して私立学校法第四十四条の二第一項の責任を負う場合には、同号に掲げる損失のうち当該責任に係る部分
  三 役員がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったことにより前項第二号の責任を負う場合には、同号に掲げる損失の全部
 3 補償契約に基づき第一項第一号に掲げる費用を補償した私学高等教育法人が、当該役員が自己若しくは第三者の不正な利益を図り、又は当該私学高等教育法人に損害を加える目的で同号の職務を執行したことを知ったときは、当該役員に対し、補償した金額に相当する金銭を返還することを請求することができる。
 4 私学高等教育法人においては、補償契約に基づく補償をした理事及び当該補償を受けた理事は、遅滞なく、当該補償についての重要な事実を理事会に報告しなければならない。
 5 私立学校法第四十条の五において準用する第八十四条第一項及び第九十二条第二項の規定、同法第四十四条の二第三項及び第百十六条第一項の規定は、私学高等教育法人と理事との間の補償契約については、適用しない。
 6 民法第百八条の規定は、第一項の決議によってその内容が定められた前項の補償契約の締結については、適用しない。


  (役員の保険契約)
 第五十一条 私学高等教育法人が、保険者との間で締結する保険契約のうち役員がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が?補することを約するものであって、役員を被保険者とするもの(当該保険契約を締結することにより被保険者である役員の職務の執行の適正性が著しく損なわれるおそれがないものとして文部科学省令で定めるものを除く。第三項ただし書において「役員賠償責任保険契約」という。)の内容の決定をするには、理事会の決議によらなければならない。
 2 私立学校法第四十条の五において準用する第八十四条第一項、及び第九十二条第二項の規定並びに同法第四十四条の二第三項及び第百十一条第三項の規定は、私学高等教育法人が保険者との間で締結する保険契約のうち役員がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が?補することを約するものであって、理事を被保険者とするものの締結については、適用しない。
 3 民法第百八条の規定は、前項の保険契約の締結については、適用しない。ただし、当該契約が役員賠償責任保険契約である場合には、第一項の決議によってその内容が定められたときに限る。




     第款 寄附行為変更の認可等



  (寄附行為変更の認可等)
 第五十二条 寄附行為の変更(文部科学省令で定める事項に係るものを除く。)は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 2 私学高等教育法人は、前項の文部科学省令で定める事項に係る寄附行為の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を所轄庁に届け出なければならない。



     第款 予算及び事業計画並びに事業に関する中期的な計画等



  (予算及び事業計画並びに事業に関する中期的な計画)
 第五十三条 私学高等教育法人は、毎会計年度、予算及び事業計画を作成しなければならない。
 2 私学高等教育法人は、事業に関する中期的な計画を作成しなければならない。
 3 私学高等教育法人は、第一項の事業計画及び前項の事業に関する中期的な計画を作成するに当たつては、学校教育法第百九条第二項(同法第百二十三条において準用する場合を含む。)に規定する認証評価の結果を踏まえて作成しなければならない。

  (評議員会に対する決算等の報告)
 第五十四条 理事長は、毎会計年度終了後二月以内に、決算及び事業の実績を評議員会に報告し、その意見を求めなければならない。

  (財産目録等の備付け及び閲覧)
 第五十五条 私学高等教育法人は、毎会計年度終了後二月以内に、文部科学省令で定めるところにより、財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書及び役員等名簿(理事、監事及び評議員の氏名及び住所を記載した名簿をいう。次項及び第三項において同じ。)を作成しなければならない。
 2 私学高等教育法人は、前項の書類、第三十七条第三項第四号の監査報告書及び役員に対する報酬等の支給の基準(以下「財産目録等」という。)を、作成の日から五年間、各事務所に備えて置き、請求があつた場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。
 3 前項の規定にかかわらず、私学高等教育法人は、役員等名簿について同項の請求があつた場合には、役員等名簿に記載された事項中、個人の住所に係る記載の部分を除外して、同項の閲覧をさせることができる。

  (報酬等)
 第五十六条 私学高等教育法人は、役員に対する報酬等について、文部科学省令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該私学高等教育法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めなければならない。
 2 私学高等教育法人は、前項の規定により定められた報酬等の支給の基準に従つて、その役員に対する報酬等を支給しなければならない。

  (会計年度)
 第五十七条 私学高等教育法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。



     第四節 解散



  (解散事由)
 第五十八条 私学高等教育法人は、次の事由によつて解散する。
  一 理事の三分の二以上の同意及び寄附行為で更に評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決
  二 寄附行為に定めた解散事由の発生
  三 目的たる事業の成功の不能
  四 私学高等教育法人又は第六十四条第四項の法人との合併
  五 破産手続開始の決定
  六 第六十二条第一項の規定による所轄庁の解散命令
 2 前項第一号及び第三号に掲げる事由による解散は、所轄庁の認可又は認定を受けなければ、その効力を生じない。
 3 第三十一条第二項の規定は、前項の認可又は認定の場合に準用する。
 4 清算人は、第一項第二号又は第五号に掲げる事由によつて解散した場合には、所轄庁にその旨を届け出なければならない。

  (私学高等教育法人についての破産手続の開始)
 第五十九条 私学高等教育法人がその債務につきその財産をもつて完済することができなくなつた場合には、裁判所は、理事若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。
 2 前項に規定する場合には、理事は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

  (清算中の私学高等教育法人の能力)
 第六十条 解散した私学高等教育法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

  (清算人)
 第六十一条 私学高等教育法人が解散したときは、破産手続開始の決定及び第六十二条第一項の規定による解散命令による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、寄附行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
 2 私学高等教育法人が第六十二条第一項の規定による解散命令により解散したときは、所轄庁は、利害関係人の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。

  (裁判所による清算人の選任)
 第六十二条 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。

  (清算人の解任)
 第六十三条 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。

  (清算人の届出)
 第六十四条 清算中に就職した清算人は、その氏名及び住所を所轄庁に届け出なければならない。

  (清算人の職務及び権限)
 第六十五条 清算人の職務は、次のとおりとする。
  一 現務の結了
  二 債権の取立て及び債務の弁済
  三 残余財産の引渡し
 2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

  (債権の申出の催告等)
 第六十六条 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。
 2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、判明している債権者を除斥することができない。
 3 清算人は、判明している債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
 4 第一項の公告は、官報に掲載してする。

  (期間経過後の債権の申出)
 第六十七条 前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、私学高等教育法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

  (清算中の私学高等教育法人についての破産手続の開始)
 第六十八条 清算中に私学高等教育法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
 2 清算人は、清算中の私学高等教育法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
 3 前項に規定する場合において、清算中の私学高等教育法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
 4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

  (裁判所の選任する清算人の報酬)
 第六十九条 裁判所は、第五十条の五の規定により清算人を選任した場合には、私学高等教育法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合において、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。

  (裁判所による監督)
 第七十条 私学高等教育法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
 2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
 3 裁判所は、第一項の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
 4 前条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合に準用する。この場合において、同条中「清算人及び監事」とあるのは、「私学高等教育法人及び検査役」と読み替えるものとする。
 5 私学高等教育法人の解散及び清算を監督する裁判所は、所轄庁に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。
 6 所轄庁は、前項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。

  (清算結了の届出)
 第七十一条 清算が結了したときは、清算人は、その旨を所轄庁に届け出なければならない。

  (解散及び清算の監督等に関する事件の管轄)
七十二条 私学高等教育法人の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

  (不服申立ての制限)
 第七十三条 清算人又は検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

  (残余財産の帰属)
 第七十四条 解散した私学高等教育法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。
 2 前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
 3 国は、前項の規定により国庫に帰属した財産(金銭を除く。)を私立学校教育の助成のために、私学高等教育法人に対して譲与し、又は無償で貸し付けるものとする。ただし、国は、これに代えて、当該財産の価額に相当する金額を補助金として支出することができる。
 4 前項の助成については、私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十一条から第十三条までの規定の適用があるものとする。
 5 第二項の規定により国庫に帰属した財産が金銭である場合には、国は、その金額について第三項ただし書の処置をとるものとする。
 6 第二項の規定により国庫に帰属した財産(金銭を除く。)は、文部科学大臣の所管とし、第三項本文の処分は、文部科学大臣が行う。ただし、当該財産につき同項ただし書の処置がとられた場合には、当該財産を財務大臣に引き継がなければならない。

  (合併手続)
 第七十五条 私学高等教育法人が合併しようとするときは、理事の三分の二以上の同意がなければならない。また、評議員会の議決を要するものとする。
 2 合併は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 第七十六条 私学高等教育法人は、前条第二項に規定する所轄庁の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
 2 私学高等教育法人は、前項の期間内に、その債権者に対し異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。ただし、その期間は、二月を下ることができない。

 第七十七条 債権者が前条第二項の期間内に合併に対して異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。
 2 債権者が異議を述べたときは、私学高等教育法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならない。ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

 第七十八条 合併により私学高等教育法人を設立する場合においては、寄附行為その他私学高等教育法人の設立に関する事務は、各私学高等教育法人又は第六十四条第四項の法人において選任した者が共同して行わなければならない。

  (合併の効果)
 第七十九条 合併後存続する私学高等教育法人又は合併によつて設立した私学高等教育法人は、合併によつて消滅した私学高等教育法人又は第六十四条第四項の法人の権利義務(当該私学高等教育法人又は第六十四条第四項の法人がその行う事業に関し所轄庁の認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。

  (合併の時期)
 第八十条 私学高等教育法人の合併は、合併後存続する私学高等教育法人又は合併によつて設立する私学高等教育法人の主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより登記をすることによつて効力を生ずる。



     第五節 助成及び監督



  (助成)
 第八十一条 国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、別に法律で定めるところにより、私学高等教育法人に対し、私立学校教育に関し必要な助成をすることができる。

  (措置命令等)
 第八十二条 所轄庁は、私学高等教育法人が、法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分若しくは寄附行為に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該私学高等教育法人に対し、期限を定めて、違反の停止、運営の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 2 所轄庁は、前項の規定による措置命令をしようとする場合には、あらかじめ、審議会等の意見を聴かなければならない。
 3 所轄庁は、第一項の規定による措置命令をしようとする場合には、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三十条の規定による通知において、所轄庁による弁明の機会の付与に代えて審議会等による弁明の機会の付与を求めることができる旨並びに当該弁明のために出席すべき審議会等の日時及び場所並びに第五項の規定による弁明書を提出する場合における当該弁明書の提出先及び提出期限を通知しなければならない。
 4 審議会等は、当該私学高等教育法人が審議会等による弁明の機会の付与を求めたときは、所轄庁に代わつて弁明の機会を付与しなければならない。
 5 前項の規定による弁明は、当該私学高等教育法人が弁明書を提出してすることを求めたときを除き、審議会等に出席してするものとする。
 6 行政手続法第二十九条第二項及び第三十一条(同法第十六条の準用に係る部分に限る。)の規定は、第四項の規定により審議会が行う弁明の機会の付与について準用する。この場合において、同法第三十一条において準用する同法第十六条第四項中「行政庁」とあるのは、「私学高等教育法第二十六条第二項の審議会等」と読み替えるものとする。
 7 第四項の規定により審議会等が弁明の機会を付与する場合には、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
 8 第一項の規定による措置命令については、審査請求をすることができない。
 9 私学高等教育法人が第一項の規定による措置命令に従わないときは、所轄庁は、当該学校法人に対し、役員の解任を勧告することができる。
 10 所轄庁は、前項の規定による勧告をしようとする場合には、あらかじめ、当該私学高等教育法人の理事又は解任しようとする役員に対して弁明の機会を付与するとともに、審議会等の意見を聴かなければならない。
 11 行政手続法第三章第三節の規定及び第三項から第六項までの規定は、前項の規定による弁明について準用する。

  (収益事業の停止)
 第八十三条 所轄庁は、第二十六条第一項の規定により収益を目的とする事業を行う私学高等教育法人につき、次の各号の一に該当する事由があると認めるときは、当該私学高等教育法人に対して、その事業の停止を命ずることができる。
  一 当該私学高等教育法人が寄附行為で定められた事業以外の事業を行うこと。
  二 当該私学高等教育法人が当該事業から生じた収益をその設置する私立学校の経営の目的以外の目的に使用すること。
  三 当該事業の継続が当該私学高等教育法人の設置する私立学校の教育に支障があること。
 2 前条第二項から第八項までの規定は、前項の規定による停止命令について準用する。

  (解散命令)
 第八十四条 所轄庁は、私学高等教育法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基く所轄庁の処分に違反した場合においては、他の方法により監督の目的を達することができない場合に限り、当該私学高等教育法人に対して、解散を命ずることができる。
 2 所轄庁は、前項の規定による解散命令をしようとする場合には、あらかじめ、審議会等の意見を聴かなければならない。
 3 所轄庁は、第一項の規定による解散命令をしようとする場合には、行政手続法第十五条第一項の規定による通知において、所轄庁による聴聞に代えて審議会等による意見の聴取を求めることができる旨並びに当該意見の聴取の期日及び場所並びに当該意見の聴取に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地を通知しなければならない。この場合において、所轄庁は、次に掲げる事項を教示しなければならない。
  一 当該意見の聴取の期日に審議会等に出席して意見を述べ、及び証拠書類若しくは証拠物を提出し、又は当該意見の聴取の期日における審議会等への出席に代えて陳述書及び証拠書類若しくは証拠物を提出することができること。
  二 当該意見の聴取が終結する時までの間、所轄庁に対し、第一項の規定による解散命令の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。
 4 審議会等は、当該私学高等教育法人が審議会等による意見の聴取を求めたときは、所轄庁に代わつて意見の聴取を行わなければならない。
 5 行政手続法第三章第二節(第十五条、第十九条、第二十六条及び第二十八条を除く。)の規定は、前項の規定により審議会等が行う意見の聴取について準用する。この場合において、同法第十六条第四項(同法第十七条第三項において準用する場合を含む。)、第二十条第六項及び第二十二条第三項(同法第二十五条において準用する場合を含む。)において準用する同法第十五条第三項中「行政庁」とあり、同法第十七条第一項中「第十九条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)」とあり、並びに同法第二十条から第二十五条までの規定中「主宰者」とあるのは「私学高等教育法第二十六条第二項の審議会等」と、同法第二十五条中「命ずることができる」とあるのは「求めることができる」と、「この場合」とあるのは「私学高等教育法第二十六条第二項の審議会等が意見の聴取を再開する場合」と読み替えるものとする。
 6 審議会等は、前項において準用する行政手続法第二十四条第一項の調書の内容及び同条第三項の報告書を十分に参酌して第二項に規定する意見を述べなければならない。
 7 第四項の規定により審議会等が意見の聴取を行う場合には、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
 8 第一項の規定による解散命令については、審査請求をすることができない。

  (報告及び検査)
 第八十五条 所轄庁は、この法律の施行に必要な限度において、私学高等教育法人に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、学校法人の事務所その他の施設に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

  (情報の公表)
 第八十六条 私学高等教育法人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、遅滞なく、文部科学省令で定めるところにより、当該各号に定める事項を公表しなければならない。
  一 第三十条第一項若しくは第四十五条第一項の認可を受けたとき、又は同条第二項の規定による届出をしたとき 寄附行為の内容
  二 第三十七条第三項第四号の監査報告書を作成したとき 当該監査報告書の内容
  三 第四十七条第一項の書類を作成したとき 同項の書類のうち文部科学省令で定める書類の内
    容
  四 第四十八条第一項の役員に対する報酬等の支給の基準を定めたとき 当該報酬等の支給の基
    準



    第三章 雑則



  (類似名称の使用禁止)
 第八十七条 私学高等教育法人でない者は、その名称中に、私学高等教育法人という文字を用いてはならない。

  (実施規定)
 第八十八条 この法律に規定するものを除くほか、この法律の施行に関し必要な事項は文部科学省令で定める。

  (経過措置)
 第八十九条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。



    第四章 罰則



  (過料)
 第九十条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、私学高等教育法人の理事、監事又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
  一 この法律に基づく政令の規定による登記をすることを怠つたとき。
  二 第三十三条の二の規定による寄附行為の備付けを怠つたとき。
  三 第三十三条の二の規定に違反して、正当な理由がないのに、寄附行為の閲覧を拒んだとき。
  四 第三十三条の三の規定による財産目録の備付けを怠り、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。
  五 第四十五条第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
  六 第四十七条第二項の規定に違反して、財産目録等の備付けを怠り、又は財産目録等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。
  七 第四十七条第二項の規定に違反して、正当な理由がないのに、財産目録等の閲覧を拒んだとき。
  八 第五十条の二第二項又は第五十条の十一第一項の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。
  九 第五十条の九第一項又は第五十条の十一第一項の規定による公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
  十 第五十三条又は第五十四条第二項の規定に違反したとき。
  十一 第六十一条第一項の規定による命令に違反して事業を行つたとき。
  十二 第六十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

  (理事等の特別背任罪)
 第九十一条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り、その任務に背く行為をし、当該私学高等教育法人に財産上の損害を加えたときは、七年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
  一 理事、監事又は評議員
  二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された理事、監事又は評議員の職務を代行する者
  三 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた者
 2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算法人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算法人に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。
  一 清算人
  二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算人の職務を代行する者
 3 前二項の罪の未遂は、罰する。

  (理事等の贈収賄罪)
 第九十二条 次に掲げる者が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
  一 第九十一条第一項各号又は第二項各号に掲げる者
  二 会計監査人
 2 前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
 3 第一項の場合において、理事等が収受した利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。




 附 則 (略)




  [ 註 ]
  ・「私学助成法」からの移行、「会計監査」「計算書類」の条項については未作業です。
  ・法令等の形式・書式等については、未整序です。
  ・読み替え部分は入れ込んでいますが、未整合です。
  ・黒字部分は現行の私学法を、赤字部分はオリジナルです。

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